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シド・アンド・ナンシー

じゃむとまるこ

4.0

二人だけの閉じられた世界。

セックス・ピストルズは聴いたことはないしパンクロックにも興味はない、しかし、シド・ヴィシャスの名前は知っている、それほどパンクの象徴のような人物なんだろう。 シドがピストルズにいたのはせいぜい1年程度、その間にグルーピーのナンシー・スパンゲンと出会い二人だけの閉じられた世界で破滅に突き進んでゆく。 これを愛と言うだろうか、お互いなくてはならない依存しあう関係、一人では生きられない人間の行きつく先を凝縮したように思える。 ドラッグに溺れる二人のそこに至るまでの人生が描かれていない、確かに家族には疎まれていたようだが、成育歴に問題があるというより彼らの破滅的生き方が家族を遠ざけていたように映画では思ったが、本当のところどうなのか、そこに説得力がないと、延々とヤク漬けの生活を描かれても感情移入はできにくい。 1978年8月12日の朝、NYチェルシーホテル100号室。そのバスルームでナンシー・スパンゲンの死体が発見された、同じ部屋のベッドで元ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスが血だらけになって座り込んでいた。 衝撃的な事件から、シドがピストルズに参加、ナンシーとの出会いに遡り、事実に基づくストーリーが再現されてゆく、破滅に向かって突き進む二人を描いているまるでドキュメンタリーのよう。 惨劇から一年、シドは21歳でドラッグ中毒でこの世を去る。 二人が生きてきた短い時間、そこにあったのは何だろう、人の弱さを見せつけられる痛さを感じた。 ひたすらドラッグに溺れ、ついに溺れ死ぬ、そこに至る過程は描かれても心の内を掘り下げることは難しい、共感はできにくい映画であったが、主演二人、ゲイリー・オールドマンとクロエ・ウェブの演技は圧巻だった。 健在の渋い演技派オールドマン渾身の役作り、名優の凄さをいまさらながら感じさせられた映画でした。 音楽をジョー・ストラマーが担当しているというのもポイントです。

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