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シド・アンド・ナンシー

一人旅

3.0

引き返せなくなった愛の結末は・・・

アレックス・コックス監督作。 英国のパンクバンド、セックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスとナンシー・スパンゲンの過激な愛を描いたドラマ。 ハードとパンクとメタルの違いも分からないほどロックに関して知識がないが、セックス・ピストルズというバンド名は高校時代にロック好きの友人が話していたので聞き覚えがある。ロックの知識はなくても理解できる作品で、基本的に描かれるのは、激しく愛し合いながらドラッグに溺れていくシドとナンシーの哀れな姿だ。伝説のベーシストと称されるシドだが、その本領を遺憾なく発揮するシーンは皆無。ミュージシャンとしての天賦の才を一切感じさせることなく、一貫してシドとナンシーの堕落し切った日々を映し出している。観ている方の気分が悪くなりそうなレベルで二人はドラッグ、アルコール、セックス漬けの生活を送る。これがパンクな愛のかたちだ!なんて見せつけられても全く共感も同情もできないが、もう引き返すことの許されないほど深いところまで、ドラッグがもたらす刹那的な快楽の世界にどっぷり浸かってしまった二人の姿に一切の未来は見えてこず、ある種の哀しみを感じてしまう。 ゲイリー・オールドマンは本作が映画初主演ということだが、ドラッグに溺れるベーシストという特異な役柄ということもあり存在感は十分だ。ドラッグの乱用で目の焦点が定まらなかったり、フラフラになりながら歌い続ける情けない姿、剃刀で胸に文字を刻み込む場面の痛々しさと虚ろな表情といった数々の強烈な演技が印象に残る。

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