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シャイニング (1980)

THE SHINING

監督
スタンリー・キューブリック
  • みたいムービー 498
  • みたログ 7,401

3.91 / 評価:3530件

時には映画を捨てて町へ出よう!

  • ser***** さん
  • 2007年8月12日 17時17分
  • 閲覧数 4499
  • 役立ち度 115
    • 総合評価
    • ★★★★★

 「ふざけやがって!てめえ殺すぞ!」
 別にケンカの光景ではない。JRA場外馬券売り場《ウインズ》でのいつもの風景だ。彼らの興味の対象は馬でもなく騎手でもない。配当金である。自分の賭けた馬が来るか来ないかだけ。で、負けるとこのセリフが辺りに飛び交う。まったく世間から見ればバカばかりだ(笑)。私も競馬は好きだが当然貧乏人、たいした金額はかけないし叫びもしない。その馬を選んだ時点で自己責任なんだから、叫んで騎手を罵倒したって何の足しにもならない。だがすっかりギャンブルに染まった彼らは、そんな【競馬】という狭い世界で自分が狂っている事にまったく気づいていない。それが外見から見てフツーの人々だというのが実に怖い。でも怒りを発散しているうちはまだマシなのかもしれない。完全にスッテンテンになって、薄ら笑いをしている人間を見た時はもう背筋がゾーッとした。まさに狂った男の目であった。

 狭い空間に閉じ込められると人間は狂う。
 これはこの映画でも実証済みだ。と、いうよりこの映画の怖さの源泉は全てここにあるといってもいい。雪に閉じ込められたホテル、という設定はつまりは【狭い空間でしか生きられない】という人間の心理状態のクライシスを具体化したものだ。そんな中で主人公は次第に自分が幻想とともに狂っていく事を止める事は出来ない。キューブリックが本当にやりたかったのは別にスティーブン・キングの原作ではなかった。今生きている世界が段々と息苦しくなっていく、偏狭的な空気をとらえる事だった。だからこそキングが激怒した。俺の原作を尊重してないと。でもキューブリックはキング以上の天才である。原作をそのまま映画化するほどバカではない(笑)。そんな事は日本人にまかせとけ!(笑)

 それにしてもジャック・ニコルソンの演技は今見直しても凄すぎる。あまりにもすごいクライマックスの変貌よりも、狂った瞬間を察知出来ないうちに狂ってた、という演技が出来るのは世界広しといえば彼以外にはいない。狂気の演技をする人はいつもクサいんだよね。でもニコルソンは初めから狂ってる(笑)。だが外見からそれがフツーだから、どこで狂ったのかが読めない(笑)。まさに素顔の狂人!(笑)

 でも前日、私がウインズで目撃した【全財産スッちゃった風】な男もこんな目をしていた。まさにニコルソンの目。狭い世界に住みすぎたあげく、最後は狂気の淵に落とされた人間は誰もがあんな目をしてしまうのか?あの瞬間、私は「シャイニング」の凄みを見た気がした。

 偏狭的な空気。それはいつの世にも簡単に蔓延する。人種差別、国家的イデオロギー、ファシズムという社会問題的なものからオタク的同趣味に生きる人々や、仲良しグループ的な世界まで、大小様々な偏狭な世界が我らを取り巻いている。特に日本人はどうもそんな世界にハマりやすい傾向にある。自殺者が年3万人にも達するというのは、そんな傾向の表れだろう。

 そんな私も映画にハマって早25年。学ぶ事も大きいが、同時にそんな世界で溺れそうにもなる。そんな時は必ず空を見て、町に出て友達とワイワイやる。これこそが最高のストレス解消だ。もちろん競馬もその一つ(笑)。決してハマらない。
 寺山修司ではないが、【映画を捨てよ町へ出よう!】である。
 狭い世界で生きるより、外でいろいろな価値観の人と触れ合う。これこそが人間が狂わない最良の方法だ。

 ネットばかりやってる諸君、たまには外で遊びましょうネ(笑)

 


 

詳細評価

物語
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演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
  • 知的
  • 絶望的
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