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アパッチ砦
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アパッチ砦

FORT APACHE

127

nak********

5.0

騎兵隊魂

インディアンものの西部劇を語る場合必ず出る問題が、白人は侵略者でインディアンは被害者ということです。  確かにそのとおりなのですが、それをいうと映画自体を否定することになるので この問題はひとまず棚上げし、映画としての出来を評価することにします。 結論から言えば「J・フォードらしい いい映画」です。 まず、砂ボコリ立ち込める映像が西部の香りに満ちており、これぞ本物の西部劇という趣きでゾクゾクします。 アパッチ砦の司令官として赴任してきたサースデイ中佐(H・フォンダ)は東部育ちの高級将校で、末端の兵士たちの規律を軽んじる様が我慢ならなず、きびしくあたる気持ちはよくわかります。 その延長で現地の事情に精通しているヨーク大尉(J・ウエイン)ら士官たちの意見を無視し、すべて自分の指示に従わせようというのは行き過ぎですね。 インディアンの族長に信頼されているヨーク大尉を使者に立て、あたかも話し合いをするような振りをしてインディアンを誘い出し、居留地に戻らなければ攻撃すると一方的に通告します。 インディアンと信頼関係にあるヨーク大尉にすればだまし討ちの片棒を担がされたわけですが、これは手段を選ばずインディアンを討伐すべしという中央政府の密命を受けたサースデイ中佐の苦渋の策だったと思われます。 荒野で対峙した両軍はインディアンが4倍の兵力で、ヨーク大尉が引き止めると大尉を輸送隊に下げ、自身は全軍を率いて突撃します。 この無謀な突撃は政府命令を遂行しようと焦ったあまりかもしれないが、いくらなんでも無茶苦茶です。 しかし、突撃途中で銃弾を受けて落馬するが、はぐれ馬を捕まえて部下が立てこもった窪地に行き、共に戦って全滅する壮烈なシーンは涙が出ます。 偉いさんは下々を犠牲にして自分はうまい汁を吸うのが普通ですが、サースデイ中佐は上部命令を無二のものとし過ぎたとはいえ、軍人精神を貫き通した清廉な人柄で、後にヨーク大尉がたたえた ゆえんでもあります。 騎兵隊3部作の第1作だそうですが、男を描いて並ぶもののないフォードの代表作の一つと言えるのではないでしょうか。

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