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アパッチ砦
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アパッチ砦

FORT APACHE

127

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5.0

映像の力強さに打たれる。

ジョン・フォードの『黄色いリボン』がそんなに面白くなかったので、この作品も初めは退屈しながら見ていました。 だいたい、僕は西部劇というのがあんまり好きじゃないらしい。 過去にみた西部劇で面白かったものは少ないと思います。 この物語については二つ前のhoykita194さんが見事なレビューを書かれているので、そちらをお読みいただければと思います。 僕が感じていたことをとてもきれいにまとめてくださっていました。 ヘンリー・フォンダ演ずる、無能で権威主義の司令官が、無謀な戦いを挑み、潰えていくという話ですが、冒頭の退屈さとは反対に、物語が進むにつれて、登場人物の個性が際立ち、軍隊とインディアンとのデリケートな関係なども描かれてきます。 インディアンが悪い騎兵隊が良いなどという単純な話ではありません。 物語も素晴らしいのですが、この作品では、なによりも圧倒的な映像の力強さに驚嘆します。 黒澤明が、ジョン・フォードのファンだったという話は有名ですが、この映像の力強さはまさしく黒澤明に影響を与えたのであろうという感じです。 西部の荒野を疾走する馬と馬車、なんと力強いことでしょう。 そして、なんとスピード感のあることでしょう。 また、ローアングルでとらえる騎兵たちの疾走もまるで画面を飛び出してこちらに向かってくるかのようです。 3Dなどという技術を使わなくても、アングルやカットでかくも驚嘆すべき映像は作れるのだということを60年以上前のこの映画が教えてくれます。 そのうえ、白人の襲撃を迎え撃つインディアンたちの姿は、誇り高く美しく感じられます。 なによりも雄大な西部の自然が素晴らしいではありませんか。 もう30年も前、アメリカ旅行をしたときに、西部の大自然に感動したものですが、この映画を見ると、「あんなところを馬に乗って駆け回ったらさぞ気持ちがいいだろうなあ。」と思わせます。 子役としてしか知らないシャーリー・テンプルもとてもかわいらしいですね。 なお、ラストは、アメリカの軍人魂を讃えるような言葉で締めくくられていますが、この伝統はアメリカ映画の中に脈々と生きているのではないでしょうか。 そういえば、日本には軍隊がないんだ、ということを改めて思い知らされる場面でした。

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