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少女ムシェット (1967)

MOUCHETTE

監督
ロベール・ブレッソン
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3.78 / 評価:49件

14歳の少女を「提示」する映画

  • @tkitamoto さん
  • 2021年4月9日 23時51分
  • 閲覧数 293
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

2021年4月、早稲田松竹にて鑑賞。

この映画は、数年前に4Kレストア版ということでブルーレイ、DVDがIVC社より発売されている。

このたび(2020年10月)コピアポア・フィルム社という配給会社が劇場公開した版も基本的にはこれと同一と思われる。

だが、同社のツイッターには「4Kリストア・デジタルリマスター版」と案内されている。

そうは言うものの両者ともに、2014年にフランスの研究所によって制作されている4Kデジタルリマスター版であろう。



1990年代後半、20代後半のワタシは都内のどこかで公開されていた本作を観て、たいへんに衝撃を受けた。

ブレッソンの映画は、どの映画も衝撃的ではあるのだが、妙に跡を引く感覚があった。

だが、おかしなことに「ムシェット!」と大人たちが彼女を呼ぶ声以外に、あまり映画のシーンが思い出せないことも不思議であった。

将来もう一度観なければならない映画のひとつだと思った。


こうして、20年以上経過し、再びこの映画を観て「なるほど」と思った。

なぜ記憶がないかといえば、この映画はドラマ的な要素はほぼ皆無で、ただ彼女の家庭の日常と周辺の大人との関わりを淡々と描いているからである。

彼女の家庭はかなり貧しく、母親も病弱なばかりか、生まれて間もないと思われる赤ちゃんまでいるという、絵に書いたような不幸な家庭ではある。

一部、彼女が襲われてしまうというシーンが、直接的ではないものの描かれるわけだが、これもそうドラマチックに語られるわけではない。

細かい描写ではあるが、生活が淡々と続くというのが、この映画である。

それらは、すべて大人の都合によるものだ。

それらは、ボディブローのように彼女の心を蝕んでいく。

わずかに遊園地のシーンは楽しそうだったのが救いだ。



ブレッソンの映画は、提示の映画だと思う。

この映画でも「少女ムシェット」を提示した。

提示=視覚化ともいえるだろう。



最近、日本のドキュメンタリー映画「14歳の栞」を観た。

この映画は、中学2年生のあるクラスの全員についてのドキュメンタリーなのだが、どのようにすれば撮影できるのか、成立できたこと自体が驚異的な映画である。

14歳といえば、通常どうでもいいことに悩んでいる。

とはいえ、基本的には明るい。

どんな出来事も、些細なことに見える。

当事者にとっては、重要なことだろうが…。

「少女ムシェット」も設定として、14歳くらいである。


「少女ムシェット」と「14歳の栞」を比較すると、前者が圧倒的に暗く詳細な心理描写から真実性を帯びているが、後者がドキュメンタリーでありながら一人一人の扱いが表層的だからかやや空虚な感触がある。

「14歳の栞」はとても素晴らしい映画なのだが、時代も国籍も異なる「少女ムシェット」の方にひとつの真理を見出すことができるとはどういうことなのだろう。

これこそブレッソンの映画の普遍性である。

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