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情欲の悪魔 (1955)

LOVE ME OR LEAVE ME

監督
チャールズ・ヴィダー
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4.00 / 評価:2件

ドリス・デイのイメチェン作品

  • rup***** さん
  • 2018年1月14日 23時13分
  • 閲覧数 277
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1920年代に活躍したルース・エッティングの伝記映画といっても、私個人としては、ルースをエディ・カンター主演の「羅馬太平記」でしか観たことがないので、本人と比べてドリス・デイの演技がどうというようなことは言えないのですが、ドリス・デイにとってみれば、古巣のワーナーを離れて初の他社(MGM)出演作ということで、従来のガール・ネクスト・ドアの役柄から大きくイメージチェンジを図っているのが注目点といえる作品です。

本作の邦題をみると、かなり際どい内容を扱っているような印象を受けますが、ナイトクラブで働くルースは歌手として舞台に立つのが夢で、彼女に夢中になったシカゴ暗黒街の顔役スナイダーが後ろ盾になってスターへとのし上がっていくものの、ルースを自分の手の届く場所に置いて思うままにしたいというスナイダーの欲望と彼の支配から自由になりたいと考えるルースの葛藤が生まれ、そこへピアノ弾きの男ジョニー(キャメロン・ミッチェル)が絡み三角関係になるというメロドラマが話の軸になっています。

ドリスのステージ衣装は多くが体のラインがはっきりわかるセクシーなもので、そのスタイルの良さもアピールポイントの1つですが、彼女が演じるルースの性格描写もそれまで演じてきた元気溌剌とした役柄とは違っていて、物語に深みを与える要素となっています。

一方、スナイダー役のジェームズ・キャグニーは、50年代半ばともなると流石に年齢を感じるものの、ギャングの親分のような凄みを利かせる役はお手のもので、本作では、ルースにのぼせて冷静さを保てなくなるという情緒不安定な一面も実にうまく表現していて、観応えがあります。
個人的には、「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」や本作以前にドリスと共演した「The West Point Story」(実質的な相手役はヴァージニア・メイヨでしたが・・・)のように軽やかに歌い踊る役柄のキャグニーが好きなので、エンターテイナーとしての役目をドリスと共に担ってほしかったという思いもあるのですけどね。

チャールズ・ヴィター監督は、「楽聖ショパン」のような作曲家の伝記物のほか「カバーガール」や「アンデルセン物語」などのミュージカル作品も含め、音楽物を多く手掛けてはいるものの、重めの作風のものが多い印象です。本作もそれに近い雰囲気で、男女関係の描き方にはリタ・ヘイワースの代表作「ギルダ」に通ずるものも感じました。

また、本作は、長年ライトタッチのミュージカル・音楽映画を手掛けてきたジョー・パスターナックがプロデュースしているのですが、パスターナック作品として観ると、50年代に入ってからも、人気テノール歌手マリオ・ランザを主演に据えた作品や、「メリイ・ウィドウ」や「皇太子の初恋」といったクラシカルなオペレッタ映画、ジェーン・パウエルが主演のミュージカル映画が中心でしたから、それまでの作品とは異なるアダルトな雰囲気で描かれているのが、時代の変遷を感じます。

本作に似たテイストでパスターナックが製作したのが、3年後の「暗黒街の女」で、こちらはニコラス・レイが監督をしているので、現在ではシネフィルの評価が高い作品ではあります。
本作では20年代でしたが、「暗黒街の女」は30年代のシカゴを舞台にし、キャグニーの演じたスナイダーと同じように、ロバート・テイラーが演ずる弁護士も足を引きずって歩く役。
本作では舞台で歌うドリスに対して、こちらはシド・チャリシーがセクシーなダンスナンバーを2曲披露していました。

パスターナックは、凝ったシチュエーションでのミュージカルナンバーなど用意せずに、シンプルなステージで、歌手や踊り手がパフォーマンスする姿をそのまま見せるというスタイルが多いので、ミュージカルが苦手な観客も取っ付きやすいですし、本作でもドリス・デイの歌手としての実力をたっぷり堪能できるのが魅力で、特に、”Shaking the Blues Away”のナンバーを披露するシーンは、華やかさ満載で素晴らしいですね。「暗黒街の女」のシドのダンスナンバーや、「サマー・ストック」におけるジュディ・ガーランドの”Get Happy”のナンバーとも共通するような洗練された都会的なセンスが感じられます。

ほかにもスタンダードナンバーが数多く歌われていて、ジュディ・ガーランドが「踊る不夜城」でクラーク・ゲイブルへの思いを込めて歌ったのが印象深い”You Made Me Love You”もあって、聴き応え十分です。


あとこれは余談ですが、ドリスが大きなブランコに乗って撮影をしているシーンで、チェアに座って指示を出しているのが、ジョー・パスターナック本人なんです。
私の知る限りでは、こういう形でパスターナックが映画本編にカメオ出演しているのは本作だけなので、超貴重。ほんの一瞬映るだけですけどね。

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