現代でも十分に楽しめる名作
- morecambeandwise さん
- 2020年10月25日 16時18分
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サメ、怖い!という話だけなのですが、見せ方のうまさと人間関係でうまく見せる、という意味ではスピルバーグの腕の確かさを感じさせる作品です。
アミティ島の小さな村。夏だけ観光地として賑わうのですが、海開きの直前に若い女性が一人水死。その死体を検視した医師からサメの被害だと聞いた警察署長ブロディーは浜辺の立入禁止を命じるけれども、観光収入を当て込んでいた市長は、検視の結果を覆して海開きを強行。
やがて次の被害者が出たことで、村はパニックに。賞金目当ての漁師たちが海に次々に乗り出す。そしてサメが一匹捕まったことで、騒ぎは収まったかに見えた。しかしブロディーの依頼でやってきた海洋学者フーパーはサメの解剖を行い、このサメが騒ぎの原因でないことを突き止める。
海開きの日、観光客で浜は賑わうけれども、またサメの襲撃。ブロディーは市長をやっと説得し、漁師のクイントを1万ドルで雇って本格的な退治を行う契約を取り付ける。
そして、ブロディー、フーパー、クイントの3人で船旅に。予想を上回るサメの巨大さ、攻撃力にひるみ、船を半ば沈められながら、最後はブロディーがサメの飲み込んだ酸素ボンベに射撃を的中させ、大爆発させて仕留める。
前半の町のシーンでは、コロナ禍を連想させる、危機管理と経済の両立の問題があり、現実と同じようにリスクから目をそらして経済を優先する政治家が失敗する。そして後半は、「白鯨」のように、男たちと海の怪物の対峙、という2段構えの作りです。
個人的にはサメの姿が実際に見える前のサスペンスの盛り上げかたが上手だな、と思う反面、サメの姿が見えれば見えるほど怖くなくなった印象です。
フーパーを演じるリチャード・ドレイファス、学者としての世間の見えない感じとユーモアがやはり独特で、スピルバーグ作品の常連なのがうなずける味わい。ロイ・シャイダーは、ジェームズ・ウッズとランス・ヘンリクセンの路線の先駆者と言えるんじゃないでしょうか。言葉少なくて不器用だけど、いざというときには決定的な仕事をするという。クイントはロバート・ショウ。この作品の数年後に亡くなっています。
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