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シンドラーのリスト (1993)

SCHINDLER'S LIST

監督
スティーヴン・スピルバーグ
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4.36 / 評価:1,807件

一つの命の灯火に向き合った人

  • 一人旅 さん
  • 2019年6月3日 16時32分
  • 閲覧数 555
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

第66回アカデミー賞作品賞。
スティーヴン・スピルバーグ監督作。

二次大戦時、1,100人以上のユダヤ人を救った実在のドイツ人実業家:オスカー・シンドラーの半生を描いた伝記ドラマ。

豪州人作家:トマス・キニーリーによる1982年発表のノンフィクション「Schindler’s Ark(シンドラーの箱船)」を、自身もユダヤ人である巨匠:スティーヴン・スピルバーグ監督が映画化した“伝記+歴史ドラマ”の大作で、数あるホロコースト映画の中でもその最高峰として今なお燦然と輝く映画史上に残る大傑作であります。

二次大戦時、ナチス・ドイツ占領下のポーランドにおいて、ナチ党員のドイツ人でありながら、自身が経営する琺瑯製品工場で雇っていた千人以上のユダヤ人及びその家族をアウシュヴィッツ強制収容所への移送から救い出し、戦後イスラエルに招かれドイツとイスラエルを往復する日々を過ごした後、66歳で逝去しエルサレムの教会墓地に埋葬された実在の人物:オスカー・シンドラー(1908-1974)の半生を、第二次世界大戦が勃発した1939年から順に描いていく、上映時間3時間超の大作映画となっています。

600万人余のユダヤ人が犠牲となったホロコーストの悲劇を、ゲットー(ユダヤ人居住地区)への強制移住、収容所への移送と過酷な収容所生活、見せしめとしての処刑が頻発する異様な日常―といったユダヤ人を取り巻く悲惨な現実を華燭なく描いていきながら、その光景を目の当たりにしたドイツ人実業家であるシンドラーが葛藤の末に私財を投げ打ってユダヤ人を救い出してゆく様子を描いています。ユダヤ人を虫けらのように扱う他のドイツ人とは異なり、ユダヤ人の“一人ひとりの尊い命”に真摯に向き合い実際に行動を起こしたシンドラーの勇姿と信念に強く心揺さぶられる傑作で、ジョージ・スティーヴンスの『アンネの日記』(59)やアンジェイ・ワイダの『コルチャック先生』(90)、近年ではアグニェシュカ・ホランドの『ソハの地下水道』(11)、ニキ・カーロの『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』(16)のように、国家の政策で罪のないユダヤ人が迫害・虐殺される非人道的現実に果敢に抵抗した一人の人間の生き様を事実に基づき明らかにしていきます。

冒頭と末尾を除いたほぼ全編に亘るシャープなモノクロの映像と手持ちカメラによる撮影がドキュメンタリー的感覚を現出していますし、凄惨な殺戮場面の数々を視覚的にマイルドにする効果をもたらしています。また、モノクロ映像の中で全てのユダヤ人を象徴する存在として幻想的に現れる赤いコートを着た少女の鮮烈な“赤色”が観客の目を引く仕掛けとなっていて、一つの民族単位で集団的に抹殺されるユダヤ人の受難において、シンドラーだけが“一つの命の灯火とその終焉”に目を向けていた事実を浮かび上がらせています。
そして、『JAWS/ジョーズ』(75)や『未知との遭遇』(77)等、キャリア初期の70年代からスピルバーグ作品に必要不可欠な映画音楽家の巨匠:ジョン・ウィリアムズによる抒情的楽曲がホロコーストの悲劇性を強調しています。

主演のリーアム・ニーソンを筆頭に、ベン・キングズレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドオールら英国出身の実力派が魅せる演技合戦にも拍手喝采で、3時間超の長尺を微塵も感じさせないホロコースト映画の最高傑作であります。

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