愛すれど心さびしく

THE HEART IS A LONELY HUNTER

124
愛すれど心さびしく
4.2

/ 27

56%
26%
11%
0%
7%
作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(8件)

切ない34.8%泣ける26.1%悲しい21.7%絶望的13.0%知的4.3%

  • oty********

    5.0

    いい人であり続けること

    幼い頃テレビで観て強烈な印象が残っていた映画。しかし、題名も出演者もストーリーすらわからず、見つけ出すことができずにいた。40年後、村上春樹さんをきっかけにやっと再会。日本語字幕のDVDは手に入れられなかったので、村上春樹さんが「最後のとっておき」に残しておいた翻訳を読んでから英語字幕で鑑賞。 幼い頃に抱いた印象のままの感動。 当時は人種差別や経済格差、家族の抱える問題などはよく理解できないまま観ていたけれど、その代わり純粋にシンガーの人柄に心を打たれていた。聾唖者であることを憶えていなかったくらい。とにかくいい人。周囲の人の悩みを聞き、彼らに助言し、行動する。 そんな彼の最後の行為に、衝撃を受けた。 そのシーンが脳裏に焼き付いていた。 正義感は強いがその正義を昇華することができずにいるブラント。人種差別に遭い、娘との関係も悪化していくコープランド。そして貧しさから夢を叶える努力さえすることができないミック。3人に真摯に向き合い、必死に救おうとするシンガー。 そんなシンガーの心の支えは、親友アントナプーロスただひとりだった。 アントナプーロスを超える存在はこの世にいなかった。 シンガーと関わった人々にとって、シンガーは一番ではなかった。 シンガーを一番に思ってくれていたのはアントナプーロスだったのだろう。 自分の悩みや苦しみを周囲には決して感じさせることなく、「いい人」であり続けたシンガーのさびしさが心に残る。 40年間抱いていた感動は幻ではなかった。 まったく古さを感じさせないこの作品をぜひ多くの人に観て欲しい。

  • stanleyk2001

    4.0

    彼の声を聞く人はいなかった

    『愛すれど心さびしく』(The Heart Is a Lonely Hunter)1968 原作者はカーソン・マッカラーズ(本名Lula Carson Smith)彼女が23歳で発表した最初の小説「心は孤独な狩人」を映画化。 原作は発表当時の1930から40年代だが映画は当時の現代(1960年代)の設定だ。 下宿屋の娘ミック(マーガレット)は自分自身を重ねたキャラクターだろうか? 主な登場人物は ・聾唖の青年シンガー(アラン・アーキン) ・シンガーの友人アントナパウロス(知的障害を持っている) ・下宿屋の娘ミック ・アフリカ系の医師コープランド ・コープランドの娘ポーシャ ・ポーシャの恋人ウイリー ・流れ者ブラント シンガーの友人アントナパウロスは身体は大人だが3歳児程度の知能しかない。叔父の店で働いていたが面倒を見切れないと遠く離れた精神病院に入院させられる。親友シンガーはアントナパウロスが退院した時のために病院の近くの街ジェファーソンに引っ越す。ミック以下の登場人物は全てジェファーソンでシンガーが出会った人達だ。 彼等は唇が読めるシンガーと筆談の助けも借りて会話をする。その会話は次第にシンガーに対して心の内をさらけ出す様なものになっていく。 シンガーを中心にしたグランドホテル形式の物語とも言える。いくつかの家庭に起きる事件を描いていく。そしてその中には酷い人種差別も。 人々の心の内を聞くシンガー。しかしシンガーの心の内を聞いてくれる人はいない。 そして親友を喪った時、シンガーは、、 「シンガー」はユダヤ系の名前だ。シンガーが聾唖なのはユダヤ人差別の比喩というのは深読みかもしれない。聞こえないから何を言っても良い。居ても居ない様な扱い。口答えしない都合の良い聞き手。 グレアム・グリーンはマッカラーズを「ウィリアム・フォークナーに匹敵する作家だ。D•H・ロレンスよりずっと良い。マッカラーズにはメッセージが無いからだ」と褒めてるのか貶しているのか分からない事を言ってるそうだ。 映画もドラマチックな盛り上がりも無く淡々と挿話が積み重ねられていく。人はそれぞれ分かち合えない孤独を抱えているという様に。 アラン・アーキンの表情豊かな名演が印象的。

  • mom********

    5.0

    レストラン店主がシンガーに食事を安く提供

    するシーンが記憶に残っています。ほとんど材料代ぐらいの破格の値段でシンガーに食事代の提案をするレストラン店主はビフだったかなあ。日曜洋画劇場の淀川さんの解説は忘れてしまったけれど、原作は「ザ ハート イズ ア ロンリー ハンター、というんですね~」と淀川さんは言ってましたね。高校生になってから、隣町の大きな本屋で新潮文庫を買いました。「心は孤独な狩人」という本の名前も淀川さんが言ってくれたのかなあ。絶版になりヤフオクで高値で売買されていました。人気の小説なんですね。田宮虎彦さんが、「さまざまな愛のかたち」という本の中で取り上げていたのも嬉しかったし、20年後ぐらいに偶然ハードカバーの原書を入手できたのも幸運だった。書き出しは、There were two mutes in the town.だったかなあ。聾唖者をミュートと言うことも知った。黒人の医者がシンガーに対して失言して、怒った出て行ったシンガーをすぐに追いかけて必死に謝る所も良かった。経験不足で、薄っぺらなイメージしかアメリカという国に持っていなかった中学生の私は、こんな細やかなアメリカ映画があるのだと静かな感動を覚えたのです。家族がいたり、レストランをやっていたり、もっと社会との関わりが多ければ、シンガーは、気を紛らわしながら生活し、死なずに済んだだろうにと当時も今も考えています。年をとって何冊かの本を出したアラン・アーキンの奥深さが若い時からにじみ出ていた映画だったのかなあ。映画の始まりの音楽もいいし、バスでやってきて知らない街で部屋を探し始める冒頭のシーンが大好きだなあ。シンガーの友人が自転車のリムを転がして夜中に遊ぶシーンから、小川未明の「金の輪」という短い童話を思い出しました。それは死のイメージでした。カーソン・マッカラーズも不幸な作家です。お笑い芸人の東野幸治さんがアーキンに似ているなあ、としばらく観察していましたが、残念な言動が多くて見るのも嫌になりました。新潮文庫の解説に『白痴』のムイシュキン侯爵のイメージを思い浮かべる、という一文がありますが、まだ読めていないのが少し心残りです。

  • とっちりんこ

    5.0

    名作

    アラン・アーキンの演技が光る名作。 みんなに優しくて、どんな人にも親切なシンガー。 心の拠り所だった親友の存在がそんなに大きかったとは… 時折、孤独に苛立つシーンがあったけど、良い人だけに感情を抑えてる。 それが観終わった後ジワジワ効いてくる。彼を助けられる存在が親友だけだったのかな…せつない。

  • syu********

    4.0

    なぜか印象に残った

    ラスト。とても印象的な主人公の墓地での会話で終わっていました。「私たちはみんな、自分の悩みを彼のところに持って行ったが、彼の苦しみを誰も分かってあげていなかった」「彼は私が必要とした時、いつも側にいてくれたのに、彼が必要とした時、私は彼を拒絶してしまった」一人残ったミック「信じられないだろうけど、あなたを愛していた」と墓に語りかけるのだった。 それぞれ悩みを抱えた登場人物たちは、物言わぬ主人公シンガーをかっこうの聞き役として、結果的に意志を一方通行させていく。悩みを聞かされる側にばかり立たされる主人公が次第に孤独を募らせていく様が、切実なタッチで描かれている。

スタッフ・キャスト

人名を選択するとYahoo!検索に移動します。


受賞歴

NY批評家協会賞第34回

男優賞

基本情報


タイトル
愛すれど心さびしく

原題
THE HEART IS A LONELY HUNTER

上映時間

製作国
アメリカ

製作年度

公開日
-

ジャンル