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愛すれど心さびしく

愛すれど心さびしく

THE HEART IS A LONELY HUNTER

124

mom********

5.0

レストラン店主がシンガーに食事を安く提供

するシーンが記憶に残っています。ほとんど材料代ぐらいの破格の値段でシンガーに食事代の提案をするレストラン店主はビフだったかなあ。日曜洋画劇場の淀川さんの解説は忘れてしまったけれど、原作は「ザ ハート イズ ア ロンリー ハンター、というんですね~」と淀川さんは言ってましたね。高校生になってから、隣町の大きな本屋で新潮文庫を買いました。「心は孤独な狩人」という本の名前も淀川さんが言ってくれたのかなあ。絶版になりヤフオクで高値で売買されていました。人気の小説なんですね。田宮虎彦さんが、「さまざまな愛のかたち」という本の中で取り上げていたのも嬉しかったし、20年後ぐらいに偶然ハードカバーの原書を入手できたのも幸運だった。書き出しは、There were two mutes in the town.だったかなあ。聾唖者をミュートと言うことも知った。黒人の医者がシンガーに対して失言して、怒った出て行ったシンガーをすぐに追いかけて必死に謝る所も良かった。経験不足で、薄っぺらなイメージしかアメリカという国に持っていなかった中学生の私は、こんな細やかなアメリカ映画があるのだと静かな感動を覚えたのです。家族がいたり、レストランをやっていたり、もっと社会との関わりが多ければ、シンガーは、気を紛らわしながら生活し、死なずに済んだだろうにと当時も今も考えています。年をとって何冊かの本を出したアラン・アーキンの奥深さが若い時からにじみ出ていた映画だったのかなあ。映画の始まりの音楽もいいし、バスでやってきて知らない街で部屋を探し始める冒頭のシーンが大好きだなあ。シンガーの友人が自転車のリムを転がして夜中に遊ぶシーンから、小川未明の「金の輪」という短い童話を思い出しました。それは死のイメージでした。カーソン・マッカラーズも不幸な作家です。お笑い芸人の東野幸治さんがアーキンに似ているなあ、としばらく観察していましたが、残念な言動が多くて見るのも嫌になりました。新潮文庫の解説に『白痴』のムイシュキン侯爵のイメージを思い浮かべる、という一文がありますが、まだ読めていないのが少し心残りです。

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