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スカーフェイス (1983)

SCARFACE

監督
ブライアン・デ・パルマ
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  • みたログ 2,485

4.11 / 評価:912件

THE WORLD IS YOURS

  • 遊歩映画道 さん
  • 2007年8月6日 12時13分
  • 閲覧数 1459
  • 役立ち度 26
    • 総合評価
    • ★★★★★

 「暗黒街の顔役」の80年代リメイク版である、バイオレンス映画の良作です。アル・パチーノ演ずるトニー・モンタナがコカインの密売で成り上がり、やがて破滅する様を描いています。

 劇中では、過激なシーン、殺人シーン、暴力的なシーンも多く、バイオレンス映画はちょっとなあ・・・という方には抵抗があるかもしれません。しかし、好き嫌いは問わず一度は観るべき映画だと思います。

 キューバ生まれの犯罪者であるトニーは反カストロ主義者として追放され、アメリカに亡命してきます。収容所で生活を送る中で、麻薬王と呼ばれるフランク・ロペスと接触し、麻薬の取り引きの成功からロペスの信頼を得て、裏社会で急激にのし上がります。

 やがて、ボリビアの黒幕ソーサとの取り引きや女での対立から、トニーはロペスを殺し、その縄張りを奪いと女(エルビラ)と結婚します。この時期のトニーは、まさに“The World is yours”だったのですが・・・。

 人を信用する事のできないトニーは成功と引き換えに、より一層孤独になっています。

 トニーの転落は銀行との脱税の摘発から始まります。刑務所送りを頑なに拒否するトニーは、麻薬取締り委員会最高顧問の殺害をソーサから請け負います。その、殺害に失敗したトニーは、ソーサから送り込まれた暗殺者との壮絶な銃撃戦の末に絶命します。


 私が感じる本作の魅力は、アル・パチーノの熱演と画面から伝わる、体臭です。とにかく、様々なシーンにおけるぎらつき具合が凄いです!生きる事、成功する事、女を奪う事、いかなる時にもトニーの情念(執念では物足りないです)が伝わってくるのです。また、後半のコカインに溺れていくシーンでは、完全に足を踏み外したトニーの絶望が画面に広がります。

 麻薬取り引きとチェーンソーのシーン、ロペス殺害のシーン、マニー殺害のシーンでは緊張感がこちらにも伝わります。この辺りは、デ・パルマの面目躍如といった所でしょうか。
 
ギャングの成功と破滅という、解り易い物語でありながらも本作の吸引力は凄いものがあります(ブライアン・デ・パルマ監督にはミッドナイトクロスという作品があり、そちらもグイグイ引き込まれます)。それは、やはり監督の技量の成せる業なのかなと感じます。

 トニーが家族と再会するシーン、レストランにおけるエルビラとの口論のシーンでは、トニーの人生から永久に失われたものを感じずにはいられません。

 私たちには程度の差こそあれ、成功したい、上に行きたいという気持ちがあると思います(もちろんそれが直接、麻薬取り引き、殺人、犯罪に結びつくわけではありません!それに犯罪を肯定しているわけでもありません!)。それは、人の持つ生存本能に起因するものだと、私は思います。


 この映画を見ていると、不思議と「何があっても生きてやる」という気持ちが内から込み上げてくるのを抑え切れません。

 生きていて良かった、人生は素晴らしいといった感情とは全く異なったものです。

 本作には、説教くさいアプローチとは違う「生きる」という本質的なテーマがあるように思います。トニーの最期を、格好悪く(屋敷での銃撃戦は凄いですけどね!)描く事により反面教師としたいという意図を感じます。そしてそれは、脚本であるオリバー・ストーン自身への皮肉とも取れます(本作の脚本を書いている時、オリバー・ストーンは重度の薬中だったようです。ボーナス・トラックでその事に触れています)。

 アル・パチーノの熱演、デ・パルマのカメラワークと映像美、そしてオリバー・ストーンの鬼気迫る脚本が組合わさった本作は、非常に良質な作品に仕上がっています。

 以下は余談ですが、デ・パルマとパチーノのコンビでは「カリートの道」という映画もあります。スカーフェイスに興味を持った、気に入ったという方は是非オススメです。また、スカーフェイスよりもカリートの道の方が暴力シーンは少なく、人物の内面描写も丁寧ですのでスカーフェイスはちょっという人にもオススメです。要するにオススメです(笑)。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 恐怖
  • 絶望的
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