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スター・トレックVI/未知の世界 (1991)

STAR TREK VI: THE UNDISCOVERED COUNTRY

監督
ニコラス・メイヤー
  • みたいムービー 7
  • みたログ 251

3.51 / 評価:98件

純然たる夢物語

  • カナボン さん
  • 2009年6月14日 1時35分
  • 役立ち度 15
    • 総合評価
    • ★★★★★

いよいよ宇宙大作戦「ST」シリーズ完結編のレビューになります。

今日のお題目は「スター・トレック?/未知の世界」です。

「?」での主要ラジー賞独占という不名誉な記録を打ち立ててしまった「スター・トレック」。当然このままでは終われない。SF大河ドラマとして確固たる地位を築き上げた名誉にかけて、そして数多くのトレッキーの為にも。そこで本作は久し振りに、「?」を監督したニコラス・メイヤーが監督に復帰しました。

連邦の宿敵であるクリンゴン帝国が統治する衛星プラクシスが強引な資源採掘の為に、爆発消滅してしまう。その影響で帝国の大気はオゾン層に包まれ、残された酸素の量は50年足らず。そこでクリンゴン総統は連邦と和平交渉をし、この危機を乗り越えようとする。その和平交渉の場への総統のエスコート役が何とカーク艦長。
しかしそのエスコートの途中に、総統は何者かに暗殺され、その嫌疑は当然カークに向けられる。囚われの身となったカークとマッコイは囚人惑星にて無期懲役の刑となってしまう。しかし、この陰謀の裏側には更に巨大な謀略が隠されていた───。

流石に完結編ということで、シリーズ集大成とも呼ぶべき冒険活劇に仕上がっています。オープニングタイトル後の衛星プラクシスの爆発シーンから、もう引き込まれます。そしてこの陰謀に携わる数多くの人々の思惑が交錯する様子は人間ドラマとしても優秀ですし、更に二転三転するシナリオは練りに練られていて全く見事な出来。

地球の危機をこれまで何度も救ってきたエンタープライズのクルーたち。スールーはその功績が認められ別艦エクセルシオの艦長に就任していますが、カーク以下他のクルーたちは、あと3ヵ月ほどでめでたく定年。そんな時に起きたこの大事件。あからさまにクリンゴンへの不信を表すカークや、珍しく弱気なスポックなどレギュラーキャストの心理的なアプローチも6作中一番丁寧に描かれているのではないでしょうか。

そしてクリンゴン帝国のお馴染みの野心家、チャン将軍を演じるのが、名優クリストファー・プラマー。正直、よくこんな役をプラマーが引き受けたものだと思います。プラマーといったら、やはり何といっても「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐役が有名。あのお固い勤勉実直な軍人をこなした俳優が、笑っちゃうようなメイクの醜悪なエイリアンを熱演しているのですよ。
しかしプラマー自身、冷酷かつ狡猾な印象も巧く引き出す俳優でもあります。あまり知られていませんが、エリオット・グールドと共演した「サイレント・パートナー」というサスペンスでの悪役は実に見事なものでした。そんなプラマーだから、意外にも本作のチャン将軍役など実は合っていて、このテロリストに本来以上の存在感を与えています。
特にエイリアンなのに、シェークスピアのハムレットの名セリフを言わせたのは、間違いなく演じるプラマーの力量があったればこそでしょう。

その他、連邦の大統領役にカートウッド・スミスが扮していることにも要注意です。こちらもプラマーに負けず劣らずのメイクの凄さで、気付かずに見過ごし勝ちです。

まあ、この手の映画ですので、最後は当然大団円となるわけで、安易な物語と言えばそれまででしょうが、自分はそれでいいと思うわけです。
元々SF映画の原点は、ドラえもんみたいなもの。要は『夢』なんですよね。
世知辛く、人間関係にも悩まされる現代人がSFという空想の舞台に望むものはこういった単純なハッピーエンドのドラマなのではないでしょうか。数々の困難を克服していき、最後にああ良かったと思えるような。

これはSFに限ったことではありませんが、このような単純なドラマ、最近は少なくなりました。世が世ですから、どうしても創る側も結末に一捻り加えたくなるのもわかります。このような映画も、確かに印象に残り考えさせられることも多いです。しかしそれが主流となりつつある現代、映画という元々は娯楽産業にまで深く浸透しているということは、実は悲しいことなのかも知れませんね。

JJの作った新しい「ST」は、単純なエンターテイメント作品です。しかしそれはこのオリジナルの「ST」の夢溢れる冒険物語としての地盤をそのまま引き継いだものと言えます。

夢なくして生きる価値はありません。どんなに年を重ねても夢を追い続ける人は若い。たまには現実の厳しさを忘れて、純然たる夢物語を楽しむことも必要ではないでしょうか。

一週間にわたる「ST」祭りは今日で終わりです。お読みいただいた皆様ありがとうございました。次回からはまた通常の作品に戻りたいと思います。

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