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ストーカー

ストーカー

STALKER/СТАЛКЕР

163

Amaterasulover

5.0

無意識下の本性。

荒筋は他のレビューを見ていただいて、、、。テーマについて書きたいと思います。願いが叶うというゾーンの部屋にあなたは行きますか?僕も最初は行きたいなぁと思っていましたが、もしそれが自分の無意識下の本性を満足させるものだったらどうでしょう?この映画の中で、主人公とは別のストーカーのヤマアラシが、弟をゾーンに案内している途中にその弟を事故で無くし、ヤマアラシは弟を返してほしいという願いを持ってゾーンの部屋に入り、なぜか金持ちになってしまって、自殺したというエピソードが語られています。我々が思う望みとは多分表層的なものであり、現実に自分の身に起こったものに対する現実対処的なものなのかもしれません。例えば、金がないから金が欲しい、テストがあるから受かりたいといった、そういった現実対処的な表層願望と、意識下の本性が望む深層願望は違うものなのだということなのでしょう。だから、主人公のストーカーはゾーンにいろいろな人を案内してきましたが、誰ひとりとして、その部屋に入らないと嘆いています。誰ひとりとして「信用しない。」と。つまり、自分は何なのか?自分の望みは何なのか?自分は何を望んでいないのか?それさえも。自分自身で分からない。自分を信用していないということなのでしょう。僕自身もいろいろな欲望がありますが、深層願望はいったいなんなのか?それが叶ったとして幸せになれるのか?さっぱり分からなくなりました。例えば、金持ちになりたいという願いを持って部屋に入っても、ひょっとしたら自由に空を飛ぶ鳥になっていたりして、、怖いよー。つまり、私自身も自分を信用できなくなったのです。そして幸せとは深層願望を満たすことではなく、たぶん、表層願望を満たそうとしてつまづいたり、近づいたり、日々のご飯を食べたり、家族と語らったりというそんなところにあるのでしょうね。内宇宙を見せてくれるSF傑作ですね。最後のシーンは神秘的でした。ちなみにこの映画はタルコフスキー自身が美術を担当しています。凄い才能ですね。脚本はソラリスと同じスタニワムレムです。

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