素晴らしき放浪者

BOUDU SAUVE DES EAUX/BOUDU SAVED FROM DROWNING

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素晴らしき放浪者
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(7件)

不思議18.8%コミカル18.8%楽しい18.8%セクシー6.3%勇敢6.3%

  • 一人旅

    5.0

    流れる川の如く…

    ジャン・ルノワール監督作。 自由気儘な放浪者と彼を助け出した一家の関わりを描いたコメディ。 1919年に初演されたルネ・フォーショアの同名喜劇をジャン・ルノワール監督が映像化したキャリア初期作品で、“流れる川”をモチーフにしたルノワールらしい煌びやかなモノクロの映像美が画面に伸びやかな印象を与えています。 川で飛び込み自殺を図った一人の放浪者:ブーデュを、川沿いで古書店を営むブルジョワ一家の気のいい主人が救い出したことを発端として、一時的にそこに居候することになったブーデュによって家の中を好き放題掻き乱されてしまう様子と、やがて主人の妻と若い愛人を巻き込んだ不思議な四角関係に発展していくその顛末を活写した異色の人情喜劇で、ブーデュが貫徹する原始人のような身勝手な振る舞いと社会の上位層である一家の表向きの常識的言動(&その裏側にある人間的欲望)が鮮烈なコントラストをもって映し出されています。 自分を救ってくれた一家に対するブーデュの行動はどれも常軌を逸していて、出された料理に文句を言ったり、床に唾を吐いたり、寝室を靴墨で汚したり、キッチンを荒らしたりとやりたい放題の行動を繰り返します。命の恩人である一家に対する恩を仇で返すような行動ばかり取るので多少なりとも“不愉快さ”を感じてしまう部分があるのですが、ブーデュの恩知らずな振る舞いを一家の主人が寛容的に受け止めてしまうため、少なくともハネケの『ファニー・ゲーム』のような凄烈な悪意&恐怖とは無縁のユーモラスな人情喜劇になっています。 ブーデュの生き方に一般常識は通用せず、あくまで彼は自分の思うが儘に行動しているだけです。ブーデュの予測不可能な行動の数々に一家が勝手に翻弄されていくという図式であり、ブーデュ自身が一家に何かを要求することはありませんし、一家もまたブーデュを無理やり追い出そうとはしないのです。何にも囚われないブーデュの自由な生き方は、社会のルールに則った良識的一家からは明白に異質な存在として映ります。まるで流れる川の如く自然の流れに身を任せて人生をひたすらに流離うブーデュの気儘な生き方には、文明化の代償として現代人が忘れ去った“自由の歓び”が横溢しています。 主演を務めた名優:ミシェル・シモンの演技が絶品で、酔っ払ったまま撮影に臨んだかのようなフラフラした挙動&力の抜けた喋り口調はまさに名人芸でありますし、シャルル・グランヴァルも良識と欲望を兼備した気のいい主人を温かみをもって名演しています。

  • khm********

    4.0

    過激で、しかも暖かい。

    当方不勉強でルノワール作品には誠に不案内。というよりヌーベル・ヴァーグ以前のフランス映画に余り詳しくないのだが… これは自由でアナーキーな快作! ?主演のミシェル・シモンの怪演!偉大な価値紊乱者―あの歩き方!あの目つき!―グルーチョ・マルクスに匹敵する! ?1930年代のパリのロケーション撮影が多い。当時としては珍しい位。エキストラだか単なる通行人だかよく判らない人々のリアルな様子。その中を傲然と闊歩するホームレスの男。恩を恩と思わず、まっとうな市民的価値観に微塵も関心を示さない野獣のような男! ?メイドと結婚し定着するかに見えたのもつかの間、男は去ってゆくが、その去り方が凄い!「川に流されてゆく」というのは一体どういうアイデアだ?おまけにどこかの川岸に上陸し、目に留まったカカシの服を取って、自分の結婚式用の礼装を脱ぎ捨てる。 その新品の服を地面に投げ捨て、土煙を上げて蹴散らす、何という粗暴! ?このような過激な既成のモラルに反する内容にもかかわらず、全体として、ゆるりとした、歌を歌うような、晴天の春の日のような暖かさの伝わってくる映画。 自由とは何か、という主題をシンプルに、ラディカルに描いた映画。やはり、ルノワールはヌーヴェルヴァーグや、ニューシネマの先生だ。

  • gyg********

    1.0

    なんだかなあ

    妙に眠いんだが・・・

  • fbx********

    5.0

    素晴らしい

    タイトル通り。嘘偽りなし。 何が素晴らしいかというと、 ありとあらゆるしがらみから、解き放たれて、 圧倒的な自由を獲得しているところだろう。 さらに、この映画の凄いところは、そういった自由を謳歌しつつも、 全ての映画から切り離されて孤独なのである。 ルノワールはその辺意図的に作っていた、きらいがある。 どの映画を見ても、彼の映画は他の映画との類似を探すことが難しい。 ルノワールはそんな唯一無比な映画を作り続けてきた希有な映画人だ。 心の底からの敬意を。

  • dqn********

    3.0

    人間の持つ獣性を肯定できるか

    異なる階層の人間が同じ家に暮らすことから起こる騒動を描いたコメディ。 ブーデュは自由気ままな放浪者だが、愛犬がいなくなったショックで自殺しようとする。それを古書店主・レスタンゴワ氏が助け、彼を家に居候させるが…。 レスタンゴワ氏はバルザックを愛するブルジョワ知識人であり、金の無い若者に自分の店の本をただであげたりする善意の人である。一方、ブーデュは自分の感情に忠実な根っからの自然人。 映画は二人の主人公を対照させながら、「友愛精神」を実行したレスタンゴワが、自然人ブーデュに見事に裏切られる様を描くことで、ブルジョワ的善意に対する皮肉な笑いを表現している。 またこの対照をブーデュに即して見てみると、彼の野卑な振る舞いは、我々の動物性・肉体性に対する不安をいたく刺激する。おそらく、この人間が本質的に持つ獣性(野蛮性)を肯定できるか、すなわち肉体的不安・コンプレックスと無縁かどうかが、本作を理解するポイントではないだろうか。 個人的には、ブーデュの野蛮性に不安感(あるいは恐怖感)を覚え、むしろお人好しのレスタンゴワ氏に共感を覚えたが、これは私に人間の獣性に対する畏怖の念があるからだろうか。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
素晴らしき放浪者

原題
BOUDU SAUVE DES EAUX/BOUDU SAVED FROM DROWNING

上映時間

製作国
フランス

製作年度

公開日
-