レビュー一覧に戻る
素晴らしき放浪者

素晴らしき放浪者

BOUDU SAUVE DES EAUX/BOUDU SAVED FROM DROWNING

84

khm********

4.0

過激で、しかも暖かい。

当方不勉強でルノワール作品には誠に不案内。というよりヌーベル・ヴァーグ以前のフランス映画に余り詳しくないのだが… これは自由でアナーキーな快作! ?主演のミシェル・シモンの怪演!偉大な価値紊乱者―あの歩き方!あの目つき!―グルーチョ・マルクスに匹敵する! ?1930年代のパリのロケーション撮影が多い。当時としては珍しい位。エキストラだか単なる通行人だかよく判らない人々のリアルな様子。その中を傲然と闊歩するホームレスの男。恩を恩と思わず、まっとうな市民的価値観に微塵も関心を示さない野獣のような男! ?メイドと結婚し定着するかに見えたのもつかの間、男は去ってゆくが、その去り方が凄い!「川に流されてゆく」というのは一体どういうアイデアだ?おまけにどこかの川岸に上陸し、目に留まったカカシの服を取って、自分の結婚式用の礼装を脱ぎ捨てる。 その新品の服を地面に投げ捨て、土煙を上げて蹴散らす、何という粗暴! ?このような過激な既成のモラルに反する内容にもかかわらず、全体として、ゆるりとした、歌を歌うような、晴天の春の日のような暖かさの伝わってくる映画。 自由とは何か、という主題をシンプルに、ラディカルに描いた映画。やはり、ルノワールはヌーヴェルヴァーグや、ニューシネマの先生だ。

閲覧数747