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スワンプ・ウォーター (1940)

SWAMP WATER

監督
ジャン・ルノワール
  • みたいムービー 5
  • みたログ 15

3.67 / 評価:6件

ハリウッド風

  • bar***** さん
  • 2019年3月3日 22時25分
  • 閲覧数 36
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

スワンプ・ウォーター。

ジャン・ルノワールのアメリカ亡命時代の映画だとか。

この映画は良作ではあるとは思いますが、ルノアール監督独自の作品だとは思えません。ハリウッドの伝統的なスタイルがルノアール監督のヒューマニズムを阻害しているように見えます。

というのも、とてもハリウッドらしい映画で、ルノアール監督の他の作品のような匂いがほとんどしないからです。ストーリーはあらすじの通りで、沼地にいる死刑囚との交流をきっかけに、主人公が村の人たちとかかわっていくというもので、最終的に死刑囚の無実が証明され、本当の犯人との対決になります。この展開がまさしくハリウッド的で、細かい設定の整合性とかは完全に無視し、盛り上がる方向性にとにかく舵を切るというスタイルで、わりかしおおざっぱな出来になっています(それでいいんでしょうけど、私が見たいのはもっと丁寧に作られた傑作なの……)。

あらすじをたどっていけば、大まかには、主人公が危険だと言われる沼地へと行き、死刑囚と出会う。死刑囚がいい人っぽかったので、彼は本当の犯人ではないと思い込む。死刑囚と一緒に毛皮業を始め、村のみんなに自慢しているうちに、死刑囚が沼地にいることがバレ始める。そのころ豚の盗難があったのをきっかけに、主人公は犯人の一味だと疑われる。リンチを避けるために真犯人を捜すことにし、割と簡単に手掛かりがつかめる。そして真犯人とラストバトルをし、エンディング。

あとこの映画はいくつかサブキャラのエピソードのようなものがあるんですけど、直接大筋に影響を与えるものはなく、単なる情景描写に終わっています。そしてそういう描写がなぜか多いんですよね。大筋は先ほど申し上げた通り、簡単なもので、それ以外の要素が結構多めにある。

こういうのはルノワール監督らしくないんですよ。それにキャラクターがハリウッド風で(あたりまえだけど)独自性がなく、また居たところで意味がよくわからないキャラクターも多い。そういう無駄な描写がかなり多いんです。その割に大筋の進行には無理な面が多く(たとえば「沼地は生きて帰れない」というオープニングの説明があるにも関わらず、主人公は何度も行き来しており、最初は「あいつ死んじまうぜ」と言っていた連中も沼地で毛皮を取ってきていることに驚きを示さなくなる。最初は「沼地は死の沼地」という表現で恐怖をあおって、禁忌性を示していたのに、あとでその表現を忘れてしまうのはアメリカ・ハリウッド映画の特徴的なだらしなさと言えますよね)、前後の設定がかみ合っていないため、結局何を表現したいのかわからない。単純にスリラー・アクションとヒューマンドラマの合成品のようなものになっていて、ルノワール監督がいたことで、なんとか凡作という評価は免れて、なかなかの作品という位置にかじりついているように見えます。ルノワール監督の美しいシーンづくりはこの映画を大きく救済しています。水面の揺らめきや、シーンの絵画的構成センス。それが素晴らしい効果を生んでいるんです。それがあるから場面に大きな価値が生まれ、視聴者を引き留め続けている。

それがなかったら、なんだこの凡作は、と怒りたくなるくらいです。

詳細評価

物語
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