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青春群像 (1953)

I VITELLONI/THE YOUNG AND THE PASSIONATE/THE LOAFERS

監督
フェデリコ・フェリーニ
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3.47 / 評価:55件

巨匠にふさわしくない作品

  • bar***** さん
  • 2019年1月16日 15時45分
  • 閲覧数 169
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

青春群像。これがフェリーニ監督の作品だと後で知って驚いた。フェリーニがこんな(言ってしまえばパッとしない)作品を手がけているとは思わなかった。

フェリーニには独自なキャラクターが存在する。たとえば『道』のジェルソルミーナや、ザンパノ。マルチェロ・マストロヤンニ演じる『8 1/2』のグイドや、『甘い生活』のマルチェロ。『女の都』の巨根博士など……。

そういったフェリーニらしいキャラクターはこの『青春群像』には存在しない。

5人の特徴のない生活が描かれるだけで(しかも我々には十分な入り口が設けられていない)、何かまとまったテーマ性があったようには思えない。あるとすれば、それは「青春」というキーワードかもしれないが、青春という言葉がどんな局面で使われるかによってその意味が大きく変わってしまうため、その言葉には重要な意味がないと思った方がいいだろう。

ファウスト、アルベルト、レオポルド、リッカルド、モラルドの5人のストーリーはどこかバラバラで繋がりが薄い。ファウストの浮気癖と犯罪、そして健気な妻との関係性が主な話題として展開されていくが、そこに重要なテーマ性は存在せず、モラルドの苦悩とファウストの堕落、そして仲間たちの賑やかし、そういった表面をなぞるようなストーリーがあるだけで、人間的にクリティカルな問題を突いてくるわけでもない。あるとすれば「友情?」……しかしそれも、他の名作のようには表現されず、極めて表面的になっている。

つくづくフェリーニがこんな作品を作ったことに驚かされる。自伝的な作品というが、恐らくフェリーニには他の作品のように極めて高い芸術性や表現性を盛り込むつもりはなかったので、どちらかと言えば、もっとフランクな叙事的な作品として、簡素に描くつもりだったのだろう。各所に見える演出などを鑑みても、それが刺激的な芸術性を目指したというよりかは、ありのままの事実を力を込めずに描いていったというイメージが強い。フェリーニにとって完成形は虚飾性が排されたものであり、それが他の作家の作品と変わらなくともなんら困ることがなかったのかもしれない。

良いところを挙げるなら、キャラクターがそれぞれ独立していること。悪いところはやはり、小さくストーリーがまとまりすぎてしまったことだと思う。結局ファウストのキャラクターはなんら独創的なものではないし、そこに重大な意味が隠されているともとうてい思えず、それはモラルドに対しても同じ。極端な話、下町劇としては優れているけども、それ以上の、ましてやフェリーニの名声に相応しい作品では全くない。

もしフェリーニの作品でなければ、これはなかなかの作品だと思うが、フェリーニの作品だと知ったことにより、残念な気持ちが強くなってしまった。

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