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聖なる酔っぱらいの伝説 (1988)

LA LEGGENDA DEL SANTO BEVITORE/THE LEGEND OF THE HOLY DRINKER

監督
エルマンノ・オルミ
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4.08 / 評価:53件

オルミ監督、金獅子賞受賞 美酒にまどろむ

  • Kurosawapapa さん
  • 2009年12月22日 10時54分
  • 閲覧数 1032
  • 役立ち度 24
    • 総合評価
    • ★★★★★

セーヌ川の橋の下に寝床を作っているホームレスのアンドレアス(ルトガー・ハウアー)は、ある日川で見知らぬ老人に出会います。

老人はアンドレアスに200フランを与え、もし返す気があるのなら、日曜に教会に返すという約束をします。

その後、アンドレアスの身の回りに、次々と幸運が舞い込んできます。


お金が入った。
まず酒を飲む。
そして腹ごしらえ。
新聞を買う。
そして、また酒を飲む。

人影もまばらな、静観な町を背景に、
ゆるやかに、静かに、物語は進んでいきます。


主人公がほろ酔いになっていくと、映像もまた、まどろんでいく。

・夜のとばりが下りた街に浮き出るダイナーのオレンジ色
・青い光に満ちたダンスホール
皆、心地いい。

季節は冬なのか、どこか空気は冷たくても、
出会う人すべての眼差しは柔らかく、 “体温” が温かい。


そして、会話のシーンより、無声のシーンの素晴らしさ。

一切の無駄を省き、
視線とアクションだけで物語る、邦画でいうなら成瀬的な美感。

酒に酔いつつ、過去を振り返れば、
そこには、満足があったり、後悔があったりする。

自分の人生を横切っていった人の顔が浮かび、愛する両親の顔が浮かんだりする。
無性に湧いてくる涙。

静かな時間の経過とともに、深く深くに落ちていくような、
そんな酩酊感は、とても心地いい。



人生とは、うまくいかないもの。

しかし、人生の最期に得た、ささやかな幸運の数々。

それは神の “しるし” か、オルミ監督からのプレゼントか。


ハッピーエンドでもなく、感動でもありません。

ただ、全く毒気の無い、たおやかな融通無碍の境地は、
とても穏やかな調和を感じさせてくれます。

 愛、 死、 救済、 
そんなテーマを含ませながら、人生を凝縮したような作品。

本作を鑑賞すると、無性に赤ワインが飲みたくなります☆

静の中に、温もりを感じさせる映画、
オルミ監督、真骨頂の逸品です。

詳細評価

物語
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音楽

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