ここから本文です

放浪三昧 (1928)

監督
稲垣浩
  • みたいムービー 0
  • みたログ 5

3.33 / 評価:3件

「自由万歳」時代劇

  • Mr.活動写真 さん
  • 2009年7月15日 21時38分
  • 閲覧数 203
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 1928年(昭和3年)の稲垣浩監督、伊丹万作脚本のサイレント映画。僕が借りたものは松田春翠の活弁トーキー版であった。

 物語の解説が無いので紹介します。サイレント映画なだけあって、出来事が多く、心理描写が少ないので、冗長な解説になりますが、悪しからず。
 佐幕派の侍であり随一の剣豪である伊達主水(片岡千恵蔵)は或る時恋敵である関口蔵六(矢野武男)に対する方便が元になり、安藤つや(衣笠淳子)と結婚する。
 また一方では、ある勤皇派の浪人(香川良介)に主水は言葉でのされ、衝撃を受ける。
 直に参勤交代の年となり、主水は江戸へ。その折に主水は浪人に再会し、勤皇思想の影響を受ける。
 他方、家を守るつやと息子の小太郎(中村寿郎)。そこに主水の勤皇派への書簡を手にした蔵六が侵入してくる。蔵六は、「この書簡を公にしたら主水はどうなることだろうなあ」とつやをおどし、彼女を寝取る。
 三年後、参勤交代が終わり、幸せな幻想を抱きながら帰ってきた主水が見たのは、つやの自裁して果てた姿。主水は怒り、蔵六親子を討ち仇をとる。
 (ここで終わると思いきや)主水は小太郎を連れて放浪の旅に出る。いつの間にやら京都に着くが、京都内では新撰組の刺客が勤皇派を血祭りにあげていて、勤皇派と新撰組の対立が勃発してしまうのだが…という話。

 稲垣浩の時代劇は、「チョンマゲをつけた現代劇」と言われるだけあって、千恵蔵の自己の内面に苦悩する姿や、今作の主題であろう自由と平和への願いが横溢している。そしてまた、時代劇の定番崩しもクライマックスでこれでもかと行われている。

 今作は、『放浪三昧』というよりは『自由万歳』という題名がいい気がする。日本戦後民主主義の理念を先んじた監督で、個人的にその傾向は好きではないが、稲垣映画は好きだ。

 他に気になったことを少々。
 片岡千恵蔵の千恵蔵プロが同年設立されたために千恵蔵映画と最初に出てくる!稲垣浩や伊丹万作はそのスタープロシステムによって育った時代劇監督であるらしい。
 そして、松田春翠の活弁。
 活弁トーキーは『御誂次郎吉格子』と今作しか観ていないが、春翠の活弁で大分救われている所が今作は大きい気がした。コメディタッチな作風も醸し出す今作だが、春翠のユーモラスな語り口によってさらにその風味が濃くされ、良く仕上がっている。

 春翠の話芸の巧みさは言わずもがなだが、彼のお遊びもなかなかのもの。
 ここに例を一つ挙げて終わる。
 勤皇派に仲間になってくれと頼まれた、群れるのが嫌いな自由人・主水の言葉。
「厭だ厭だ。拙者は自民党でも社会党でも共産党でもない」
 

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ