不完全でも魂が震える“一瞬”の数々
- すかあふえいす さん
- 2014年6月6日 21時06分
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マキノ正博(雅弘)が1928年に完成させた幻の傑作「浪人街」。
現在発売されているDVDは、何と第一話のクライマックスを8分、第二話のフィルムを70分以上、そして「崇禅寺馬場」の断片が32分収録されているときやがる。コイツはあマキノファンなら買うしか無いね。
画質の保存状態は余り良好と言えないが、それでも画面全体を振るわせる俳優たちの若さに満ち溢れたエネルギーがガンガン伝わってくる。
一瞬の躍動感、浪人たちを取り囲む人の群れ、群れ、群れが斬りかかるフルスピードの死闘。
そして「おのれッ裏切ったなッ」の問いに対して「馬鹿ッ!表返ったのぢゃわッ!」と言って見せるマキノ節の何と粋な事か。
その表情の活き活きした事、そして今までの罪滅ぼしか、たった一人で修羅場を引き受ける義理人情。この一瞬の場面の熱さ。
母衣権兵衛や荒牧源内、土居孫左衛門といった浪人がたった一人の惚れた女のために数多の刃の中に飛び込む“馬鹿野郎”たち、そんな男たちに惚れてしまった赤牛もまた“馬鹿”である。これほど仁義に厚くカッコイイ馬鹿野郎共どもは早々いないぜ。
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