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進軍

進軍

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bakeneko

5.0

ネタバレ夢は空高く!

「チャップリのサーカス」で助監督を務めたことで有名な牛原虚彦監督作で、1920年代の世相の中で田舎青年の飛行への夢が叶って飛行隊の一員となり武勲を立てるまでを、故郷の令嬢との恋を絡めながら明朗に描いた“飛行機&恋&戦闘”娯楽大作であります。 僅かな期間しか師事していなかったのに人物の細やかな表情の捉え方や近景→遠景の場面転換の鮮やかさにチャップリンの映画文法の影響がしっかり出ている作品で、地方の飛行機好き青年の周囲の人々や子供たちとの交流&華族の令嬢との恋を情緒豊かに描きながら、やがて航空学校→軍の飛行部隊へと進んでいく青春の夢のステップアップを爽やかに魅せてくれます。 1920年代の飛行機はもちろん複葉機で、そのゆったりとした優雅な飛行風景はノスタルジックであると同時に華麗であり、「華麗なるヒコーキ野郎」や「素晴らしきヒコーキ野郎」等のロマンを魅せてくれます。 終盤の帝国軍総出演の大進軍場面など軍事色はありますが、物語を貫く青年の“純粋な空への想い”が爽やかな作品で、令嬢との恋、ライバル?との摩擦や軍での仲間との友情等も細やかな日本人の心理の機微を活写しています。 当時の飛行部隊(甲式四型戦闘機(ニューポール・ドラージュNiD.29C1))&戦車(ルノー FT-17 軽戦車)が大挙して進軍する場面はミリオタ狂喜のスペクタクルで、複葉機の特徴を生かした数々のアクロバット飛行の神業も見どころであります。終盤の怒涛の陸&空軍の戦争進軍場面は「つばさ」+「ビッグパレード」の趣が感じられる作品で、(同調装置発明前の)まだ前方に射撃が出来ないので後方の機関銃による戦闘や、人間が翼を伝っての飛行機間の物の受け渡しなど瞠目のシーンも目白押しの映画でもあります。 飛行機黎明期の1920年代の明るい時代色が感じられるロマンと冒険の明朗作で、上昇していく日本の活気も捉えられたスぺクタクルロマンであります。 (脱線) 本作はサイレント映画ですが、観に行った上映会では生のピアノ伴奏が付いていました。で、終盤30分の怒涛の進軍場面で、(“ホルストの惑星-火星のテーマ”の様な)“進軍の旋律”を延々と熱演し続ける奏者の柳下美恵さんに、“いや~!柳下さんがしんじゃう~?!”と心配になった観客は私だけではないと思います(そういえば、ピアニストの伯母が“ピアノ奏者は体育会系!”と断言していたな~)。

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