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麗人 (1930)

監督
島津保次郎
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  • みたログ 2

3.33 / 評価:3件

“パンドラさん”って変な源氏名だなあ~

  • bakeneko さん
  • 2014年11月6日 6時19分
  • 閲覧数 296
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

少年小説の第一人者として知られる佐藤 紅緑(さとう こうろく)(作詞家で詩人のサトウハチロー&作家の佐藤愛子兄妹の父親)の原作「麗人の歌」の島津保次郎監督&栗島すみ子主演による映画化作品で、野心的な青年に貞操を奪われ捨てられたヒロインの人生行路と復讐の行方を、当時の農村部の土地の企業による買い漁り事象を背景にしながら、様々な人物を絡めて描いた“大河メロドラマ”の傑作であります。

当時の映画界スター総出演で描いた絢爛たる人間ドラマで、主演の栗島すみ子は流石の名演で女の情念を見せてくれますし、八雲恵美子(清楚な人妻役)、花岡菊子(一途な娘役)、伊達里子(モガ姿が素敵!)らも美貌を競っています。注目なのが、女学校時代からの友人で女性運動家を演じた岡本文子で、後年の“どえん”な姿からは想像もできない凛とした美貌を魅せてくれます(でも役名が“虎子”!)。
更に男優は、渡辺篤、坂本武がカメオ出演していますし、河村惣吉も大暴れ!そして子役時代の高峰秀子が“男の子(役名は岩夫!)”としてしっかり演技しています。
また、今ならば“手持ちカメラで撮った”様な“自由闊達に動き回るカメラワーク”も見事な作品で、端役まで緻密に性格を描き込んだ演出も光っています。
群像劇のもう一つの焦点となる―“政治家と企業の結びつき”や“農村部の土地を買い叩いてゴルフ場などに商業化”といった今と変わらない現象が昭和初期から行われていたことも分かる作品で、一人の女性の転落と退廃&再起を劇的に描きながら、女性運動や社会問題も提起している映画となっています。
サイレント期の大河メロドラマの面白さがぎっしり詰まった作品で、伝説の名女優:栗島すみ子の名演に加えて、昭和初期のファッションや風俗も見所の映画であります。

ねたばれ?
1、 ネットなどの情報で、本映画が“白蓮事件”を描いているとの記述がありますが、本作のお話とは全く関連はありません。また、1946年制作の渡辺邦男監督&原節子主演の同名映画を“本作のリメイク”とする記述もやはり間違っていて、2つの作品は全くの別物で、更にどちらにも“白蓮事件”は微塵も出てきません。
2、 パンドラは、ギリシャ神話に出てくる―神々によって作られ人類の災いとして地上に送り込まれた人類最初の女性とされ、うっかり秘蔵の箱を開けて様々な災いを世界に解き放ちます。
しかし本作では1929年に制作された「パンドラの箱」の主人公の淪落の女:ルイーズ・ブルックスの雰囲気に因んでヒロインが付けた源氏名であります。
3、一番得をしたのはお金を持ち逃げした村長だな。

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