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戦場のメリークリスマス
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戦場のメリークリスマス

MERRY CHRISTMAS, MR. LAWRENCE

123

yahoyaho_cat

4.0

恥と刀

この作品は男たちの恥ずかしいシーンがたくさんあります。 まずジョニー大倉扮する軍属がオランダ兵を襲っちゃう話が恥ずかしい。 坂本龍一がデヴィッド・ボウイにチューされるシーンも恥ずかしい。 デヴィッド・ボウイが地面に埋められて首だけ野ざらしにされているのも恥ずかしい。ビートたけしや坂本龍一の素人くさい演技も恥ずかしい。 そんな恥ずかしい男たちの姿を映画監督の刀であるカメラでバッサり切った(撮った)のがこの作品です。 大島渚監督は物事を単純に「善と悪」で切って見せたりしない人です。 大島渚監督は戦争を善悪でなく「恥」という概念や感情で表現しようとしたのではないでしょうか。戦争とは「恥」であると言おうとしたのではないでしょうか。 「恥」は謝っても消えるものではありません。「恥」を消すにはもっと恥ずかしい姿を見せることが一番です。だから大島渚監督は日本人が犯した「恥ずかしい戦争」について、ビートたけしや坂本龍一のあの恥ずかしい演技を世界に見せることによって一種の「贖罪」をしようとしたのではないでしょうか。 だからビートたけしと坂本龍一は日本人が犯した戦争のために日本人を代表して大島渚監督の「刀」によってバッサり切られ、世界に「さらし首」にされたのです。ビートたけしの最後のセリフと坂本龍一のあの美しい音楽は辞世の句のようなものです。だから私たちは最後のカットと音楽で涙を流すのです。 また、デヴィッド・ボウイのさらし首は弟への罪に対する贖罪であり、デヴィッド・ボウイ扮するジャック・セリアズと弟との関係はこの作品の重要なテーマと繋がります。 あの恥ずかしい演技とシーンは日本人の世界に対する「贖罪」であり、映画としてはあれが正解だと思います。

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