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浮草物語

どーもキューブ

4.0

浮いた草つかず離れず

1934年作、脚本池田忠雄、監督小津安二郎。のち大映にてリメイクする小津唯一の作品、予習鑑賞。サイレント、音無作品。坂本武扮する男らしい芝居屋の座長、馴染みのある街を訪れる。座長には良き芝居仲間がいる。そこでの興業前、座長はある家に挨拶にいく。そこには小津映画初期常連のかあやん、飯田蝶子があったかく出迎えた。後期作品では近所の叔母さん、食堂の叔母さんで出演。素晴らしい表情を魅せます。また息子の三井秀男さんも顔見知り。彼は後期黒澤作品の常連(「どん底」の宿屋住人。「悪い奴ほどよく眠る」の口のたつマスコミ役等)。本作若くて良き表情。彼らの隠された絆が浮きたち始める。字幕も古語書体で?と感じる所もありますが、カットと字幕でなかなかの叙情を感じさせてくれます。小津初期の隠れキャラチャイルド突貫小僧こと青木富夫さんも貯金箱持つ可愛いお子様役。まるで複数の浮き草が水の上をついてわ離れるがごとく一つの絆のドラマが静かに表出。ラストの風情も良いです。小津の珍しく頻発するカメラ横移動、俯瞰撮影、引きの人物フレームイン、実験心溢れてます。後期厚田カメラマンが本作では撮影助手をつとめてました。本来の小津らしくない直球感情衝突が必見な浮草物語でした。

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