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浮草物語

ami********

5.0

サイレント浮草

小津作品は結構観たなと思いきや、戦前の作品の方が断然多いのに驚き、まだたくさん 観れるんだとちょっと嬉しくなっている今日この頃ですが、小津さんって、戦後こそ 特に「晩春」以降、完全なる小津ワールドを作り上げてますが、それ以前は、いろんな 描写で色んなストーリー展開で映画を作っていた気がします。 そんな中でも、「浮草物語」はよっぽど気に入っていたんでしょう。戦後に自身で リメイク(浮草)までして、しかも戦後の小津ワールドとは掛け離れている作品にも 拘らず、完璧なまでに仕上げたからです。 もう観る前からドキドキでした。 小津さん好きだし、「浮草」大好きだし。 結論としては、「浮草」を先に観るべし。です。 無声映画ですから、弁士がいないとちょっとキツイですけど、浮草を見た後であれば すーーーっと物語は入ってきます。 単純に比較すれば、「浮草」の方がいいです。 でも1934年の作品であること。最高傑作「浮草」の元であることに敬意を表して 是非とも観て頂きたい、小津ファンとしてそう思うのでした。 そうそう、笑い方が豪快な婆さんで有名な、飯田蝶子さん、戦前の小津作品に良く 出てるんですが、この映画でも旅芸人の妻として、笑う婆さんでない、名演技をする 女優として出演しているので、それも見所ですね。 唐突ですが、誰がなんと言おうと、やっぱり映画の最盛期は1950年 ~1960年代だと思います。現代の映画関係者の能力の話ではなく、 映像のエンターテイメントが映画に集中していたからだと思うわけです。 刺激を求めて、殺人・殺戮を増やしたり、映像を瞬時に動かし、編集技術で・3Dで 視覚聴覚を直接刺激するだけの作品。。 ゲームと一緒で、人間様の脳ミソを馬鹿にしすぎな作品ばかりが増えすぎちゃって ちょっと映画愛好家としては、これから先、危惧を覚えますよね。 質の悪い映画を増やさないためにも、時代に洗礼された1950-60年台の映画を たくさん観て、無意味な映画の需要を無くしたいと切に思います。 そしてそして、サイレント映画とは、台詞でさえも無い映画なんです。 言葉なくして全てを語る。歌詞が無いけど、全ての情景を語れるクラシック音楽の ような存在であるこの作品を、是非ともご鑑賞くださいませ。

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