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卒業

卒業

THE GRADUATE

107

しーもあ

3.0

映画史の勉強として

率直に今の時代に見てもピンとこない。おそらくそれは、親や社会、国家、宗教的な倫理観などに逆らうことが珍しくない世の中になったからだろう。サイモン&ガーファンクルの旋律は今でも美しいが、若い恋愛とラストはあまり説得力が薄い。 しかし、アメリカンニューシネマの黎明と捉えられるこの作品の時代は、ベトナム戦争に突入し、学生を中心とした大規模な反戦運動が起ころうとし、ニューエイジというキリスト教的な価値観を覆そうとするムーブメントが起こる時代の幕開けであった。 そうした時代に、カレッジを卒業したものの目的もなく鬱々としていた金持ちの若者が、父の仕事仲間のアルコール依存症の妻と度々ベッドをともにし、一方で娘に惹かれるというのは、青春映画としては異色の背徳行為と言える。最後に結婚式から花嫁を奪取して、あてもなく逃げ出す姿は、当時の若者たちに驚きと共感を与えたに違いない。 しかし残念ながら、それから半世紀の歳月をへてから見ると、いかにもな不倫であり、安っぽいポルノ映画のようにもみえる。結婚式場からの花嫁奪還は、感動よりも「奇態)な行為であり、今の時代ならそのまで無理をせずとも、互いに話し合った上で穏便に決めるのは、決して不可能ではない。現代は、それほど性に対するタブーは失われている。 島の我々には、時代背景を考証しながら、映画史の勉強として鑑賞するぐらいしか出来ない。時代とともに失われる驚愕や感動というものはあるのだ。しかしそれは、この映画の価値を下げるものではない。

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