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月夜鴉

bakeneko

5.0

ネタバレ言うことを聞かないとお嫁にいっちゃうぞ♡

川口松太郎の連載小説の2度目の映画化作品ですが、三味線の修行がテーマでありながら前作(サイレント)が主人公達の技量を聴かせることが出来なかったのに対して、トーキーの本作では三味線の名家:杵屋の名人達が国宝級のシビレる音色を聴かせてくれます。 三味線の家元の一人娘(29歳):飯塚敏子―超勝気で男勝り(ドS!)と、 感の悪い弟子(17歳):高田浩吉―超晩生で弱気(ドM!) という“割れ鍋に綴じ蓋”のカップの“ドライで男女の立場が逆転している”ラブコメが愉しい―和風“バックステージ&スクリューボールコメディ”の傑作で、主人公2人の極端なキャラクターの化学反応で大笑いさせてくれます。 また、娘の婚期が遅れてハラハラしている父親:3代目杵屋和十郎や、 早合点でうっかり者&ころころ気が変わる叔父:斎藤吉之進、 その若い後妻で、同じ歳のヒロインに“叔母さん”っと呼ばれるのが嫌!な:伏見直江 ―らも、人情の機微を捉えた演技で笑わせてくれる作品で、流石に三味線全盛期の昭和初期の名人達の音色はエレキギター以上にビートが効いています。 実際には、高田29歳&飯塚24歳―と釣り合った年齢のカップルなのですが、そうは見せない演技力で“変則カップル”を愉しませてくれる作品で、本作の好評を得て創られた続編「新月夜鴉」も是非観たくなる映画であります。 ねたばれ? 1、“月夜烏(ツキヨガラス)”とは、月の明るい晩に浮かれて鳴き出す烏、転じて“夜遊びする人”のたとえですが、本作の父親は“亡くなった妻一筋”で、叔父から“女遊びをしないなんてエのは芸人の面汚しだ”とからかわれています。 2、“自惚れなよ…芸人にはそれが何より必要なんだ…”はプロの舞台を見てきた川口松太郎ならではの名言ですなあ~。 3、主人公の成功を見届けて…のくだりは、「ラストコンサート」や「ライムライト」等の洋画も連想させます(古今東西、芸の道は厳しいんだ!)。 おまけーレビュー項目に無い人情劇のレビューを 1930年代の大阪の町で… 「僕らの弟」(1933年日本42分)監督:春原政久、脚本:依義賢、出演:中村英雄 両親の不在に3人で力を合わせて生きていく兄弟を活写してして行く「三等重役」の監督・春原政久のデビュー作で、脚本は溝口監督と組む以前の依田義賢が下町情緒溢れる戦前の情景を描き出しています。 本映画は1988年に京都の西山高等学校で発見された、残存していた教育上映用のフィルムがを修復したもので、。(昭和恐慌、日中戦争勃発後の)昭和8(1933)年という困難な時代に、母親の病死や父親の出稼ぎで3人きりとなった兄(小学6年生)、妹(小学3~4年生)、幼い弟(4~5歳)が周囲の人々に助けられながら生きていく様子を活写した作品で、現在の大阪此花区にあった四貫島小学校が舞台となっています。 2階建て木造校舎に上開き机、運動場(現在のラジオ体操第2がもう普及していたことがわかります)といった懐かしい旧制小学校の様子も映し出される作品で、当時の海水浴の風景、置き薬制度、豆腐屋が町を売り歩く風景も見ることができます。 この頃既に学校にプールがあったり、街が電車で賑わっていたり―と流石に大阪は戦前から都会であったことも分かる作品で、港や連絡船の様子も映像に留められていますよ! ねたばれ? ああっ、屋台を放ったらかしで…これだから子供には無理だと言ったんだ…(豆腐屋の親父)

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