イバリンガル(茨城弁が堪能)で良かった!
- bakeneko さん
- 2016年2月22日 13時27分
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アララギ派の小説家:長塚 節(1879年- 1915年)の代表作である同名農村文学の内田吐夢による映画化作品で、戦前の茨城県の農家の生活を貧しさの中に力強く活写している名作であります。
“喋っている言葉が全然聞き取れなかった”―と東京での上映の後で溢していた人がいるほど、全編茨城弁の映画で(これでもかなりマイルド化されているんですけど…)、戦前の農村での生活がリアルに描かれていきます。
「木靴の樹」(19世紀後半のイタリア農村)、「大地のうた」(20世紀半ばのインド農村)等の農村映画の傑作を連想させる、リアリズムとドラマを見事に融合させた傑作で、妻に先立たれて貧困に喘ぐ小作農家(父親、娘、息子、祖父)の葛藤と絆が、まだまだ人情に厚かった戦前の村落共同体の中に活写されて、“土に根ざして生きる―日本人の本質”を、詳細な農村生活に加えてユーモアとサスペンスも盛り込んで力強く見せていきます。
長らく消失していたフィルムが東ドイツとロシアで見つかって、最後の章をナレーションでカバーする117分版(オリジナル全長は143分)が現在観賞可能な最長版の映画(画面下にドイツ語訳が表示されています)で、戦前の農家の暮らしを詳細に記録した映像は学術映像としても一級の価値がありますし、健気な長女を演じた新人(17歳)の風見章子さんは現在でも現役の女優さんですよ!
ねたばれ?
今井正監督による『米』はこの映画の戦後版的作品で、脚本は『土』も手掛けた農家出身の八木保太郎が担当していて、霞ヶ浦の農村の暮らしを美しいカラーで魅せてくれます(この映画も茨城弁だっぺよ)。
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