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小島(こじま)の春

bakeneko

5.0

ネタバレ杉村春子は二役演じています!

いきなりすみません! 高峰秀子の著作「わたしの渡世日記(上)」を始めとして、杉村春子の神掛かった名演が見れることで有名な作品で、杉村春子は病人の妻と顔を見せない女患者の2役を演じています(女患者の方はクレジットに役名が提示されていません)。 癩(らい)病患者の救済に一生を捧げた女医・小川正子による記録文学(「小島の春」「土佐の秋」などから成る短篇集)を、八木保太郎が脚色し、豊田四郎が監督したもので、折々に挟み込まれる短歌も彼女の自作を使用しています。 岡山県長島にある、らい診療所「愛生園」の女医・小山先生:夏川静江が瀬戸の島々を訪ねて隠れた病人巡回診療&施設へ収容する奮闘を活写してゆくもので、菅井一郎を始めとしたらい病患者の悩みと家族の葛藤が、まだ治療法が無かった時代の苦難を映し出しています。まだ5歳だった中村メイコも島に収容されている患者の娘役でトップレス出演!している作品でもあり、実際に瀬戸内海でロケを敢行した風景も当時の様子を刻み付けています。 医療啓蒙映画として清水宏が監督した「女医の記録」(1941年)と同時期の作品ですが、ユーモアと長閑さが鏤められた清水作品とは対照的なシリアスさが厳しい現実を提示している作品で、医学的知見も(特に伝染性について過剰に解釈するなど)間違っているところなど当時の状況を赤裸々に見ることが出来ます。 最初から最後まで、患者の家巡りのエピソードなので、やや停滞がちな作劇となっていますが、杉村春子らの渾身の名演を見つめましょう。 ねたばれ? (島の療養所に)“騙されたと思って一辺行ってみなさい”…って村長さん無責任すぎますよ

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