レビュー一覧に戻る
エノケンの孫悟空 後編

bakeneko

5.0

ネタバレ空を飛び、地に潜り♪

日米開戦直前に創られたシネオペレッタ娯楽作品で、当時全盛期だったエノケンの浅草劇場オペラ&レビューショーの面目躍如たる“和洋折衷ミュージカル活劇”の快作となっています。 レビュータイトルに書いた本映画の主題歌は、エディ・カンターの“The Man On The Flying Trapeze”の替え歌であります(「或る夜の出来事」のバスのシーンで唱われた曲です)。他にも、“アレクサンダーズ・ラグタイムバンド”“星に願いを”“ハイホー”などの当時最新のアメリカ映画の曲や、「メリーウイドウ」、「リゴレット」を始めとしたオペラ&オペレッタの名曲を和風にアレンジ&メドレー化した音楽に乗せて、バスビー・バークレー風“ハリウッドレビュー”を見せてくれる豪華な作品で、映画のパロディ引用としても、「オズの魔法使い」、「白雪姫」、「メトロポリス」、「フラッシュゴードン」「ポパイ」…と枚挙に暇が無いほどの無節操な大盤振る舞いを愉しませてくれます。 お馴染みのエノケン組俳優総出演に加えて、花井蘭子、高峰秀子、牧久千恵子、三益愛子、服部富子、李香蘭(山口淑子)、汪洋、渡部はま子、中村メイ子等も華を添えていて、特に当時20才でブレイク直前の李香蘭の美貌&歌唱は眼福であります(youtubeで歌唱シーンを観ることが出来ますよ!)。 特撮は当時新進気鋭の円谷英二が手がけていますし、まだ最新の知識だったロボットまで出てくるナンセンスな弾けっぷりが愉しい“おもちゃ箱をひっくり返したような”娯楽映画で、エノケンの猿っぽい演技や“あのねのおっさん:高勢実乗”との掛け合いも絶好調であります!(上映時間は前後編合わせて135分) ねたばれ? アメリカ文化&映画満載の愉しい本作の次に監督:山本嘉次郎&特撮:円谷英二のコンビが創ることになるのが、戦意高揚特撮活劇「ハワイ・マレー沖海戦」…本作は時代が暗転する前の最後の無邪気で幸福な映画でありました。

閲覧数343