簪(かんざし)
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(9件)

切ない23.8%楽しい19.0%笑える14.3%悲しい9.5%コミカル9.5%

  • kih********

    5.0

    お天道様に照りつけられて、教えられる。

     「この作品には、今日では一部不適切と思われる表現がありますが……」と断りが入れてある。「按摩」の扱いのことなのだ。「今日では」明らかに「不適切」だ。『按摩と女』のレビューで「目の不自由な人々を被写体にするのは悪趣味」と書いた。これに「参考になった」ボタンを押している人もいる。やはり「今日では」「不適切」というのが「一部」ではなくて多数の良識だろう。  昭和16年の大戦突入の時代の「畫映竹松」の重箱の隅を突いて、清水監督の作品を非難するつもりはない。この映画でも「按摩」が出て来るが、「不適切」ではあるが、悪意は感じられない。むしろ、戦意高揚の国策映画が求められる時代に、田舎の「お天道さま」に「いい気持ち」を感じさせる健康な映画だ。「当時においてこそ、国策映画として不適切と思われる」映画ではなかったか。山道を歩きながら、末成りの娘さんたちが会話している。  「お天道さまに照りつけられるのはいい気持ちのもんだわねえ。」  「そう、いい気持ちだけど、   わたしたちうらなりのお嬢さんには少し暑すぎるわ。」 冒頭のこのシーンだけでも、「当時の」庶民の味方だと分かる。  別の「じめじめした暮らし方が嫌」になって逃げて来たお妾さんが、山村の旅館で考える。  「これから先のこと あたしだって分からないけど   毎日こうやってお天道さまに照りつけられてるうちに   お天道さまが教えてくれると思うわ。」 そうだ。威勢のいい「団体」(宗教)さんや権威のありそうな「先生」ではなくて、「お天道さま」が教えてくれるのだ。    団体さんや先生サマをいい具合におちょくりながら、権威を笑う。按摩さんも笑う側に居る。清水監督のカメラは基本的に彼らの側に居る。  英語の字幕がある。団体客を、先生サマは「うるさいnoisy」と怒るが、別の同宿者たちは「にぎやかlively」、「景気がいいhappy」、「派手gay」という。英訳もご丁寧だ。もちろん英語のタイトルがある。『ORNAMENTAL HAIRPIN』、なかなかお洒落だ。ついでながら、「按摩さん」は「a masseur」。いっそのこと、英語劇にしたらどうだ。結構行けると思うよ。

  • u6t********

    5.0

    妾であることの切なさ

    「按摩と女」の3年後に撮られた作品。 まったく事前情報を持たずに見始めたため、序盤はとても上品なコメディで楽しめた(斎藤達男の大学教授も非常によい)。 名わき役としての笠智衆が主人公となるところに驚くが確かに朴訥としてかなりのイケメンだった。 ヒロインの田中絹代の恋徐々に笠智衆にひかれていくさま、妾としての人生から解放されたいという苦悩をとても上手に表現している。 一観客として「按摩と女」の続きでもしかしたら、あの妾も今度は幸せになれるのではないかと期待して・・・・。 現代において「お妾さん」という立場の女性がどれほどいるのかはわからない。 その立場ゆえの葛藤というものを自分では感じられない。 もしかしたら笠智衆が最後に現れるのではないか?田中絹代も最後に救われるのであろうか?映画はそこまで描いてくれなかった・・・・。

  • d_h********

    5.0

    ネタバレ田中絹代の自然な演技が良い

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • Kurosawapapa

    4.0

    意味深、、、清水宏監督と田中絹代

    この映画の原作は、井伏鱒二の「四つの湯槽」。 温泉宿を舞台に人々がおりなすドラマを描いた、同じ清水宏監督「按摩と女」の流れを汲む1941年の作品です。 ======= 賑わいをみせている山奥の温泉旅館。 戦傷帰還兵の納村(笠智衆)は、温泉で簪(かんざし)を踏んで、足を怪我してしまう。 その後、簪の持ち主である恵美(田中絹代)が、納村を見舞うため宿にやってくる。 納村は恵美に恋心を抱くが、恵美が宿にやって来たのには、東京での愛人生活から逃れるためという、もう1つの理由があった。 ======= 本作が作られたのは、太平洋戦争開戦の年。 この頃の清水監督は、戦争遂行のための文化映画にも関与しましたが、自然体を貫くことが反戦とばかり、殆どの作品において自分の作風を崩すことがありませんでした。 ストーリーは、笠智衆と田中絹代のカップルを周囲がはやし立てるという、のんびりしたもの。 若夫婦、学者、老人、子供の兄弟など、 登場人物のバランスの良さとともに、家族的で、悠揚な雰囲気を作り出している。 本作では、田中絹代が笠智衆を背負うシーンが、ちょっとしたクライマックスになっています。 あの小さな田中絹代が、大の男を背負い橋を渡るのは、見る側もかなり力が入る。 田中絹代という女優は、溝口健二監督「夜の女たち」で悲憤絶叫し、小津安二郎監督「風の中の牝鶏」で階段落ちを演じ、つくづく凄い女優だと思う。 さて、本作に登場はしませんが、 恵美(田中絹代)が逃げてきた、東京に住んでいる愛人というのは、 おそらく清水監督の自己投影。 清水宏監督と田中絹代が同棲生活を始めたのが1927年。 しかし1929年には破局し、田中絹代は家を出ていく。 その後、清水監督は、1930年に伊豆下田の名妓と結婚しますが、 田中絹代は、生涯、独身を通します。 ( 詳細は市川崑監督の「映画女優」にも描かれている。 ) 本作も、予想外の結末へ、、、 雨の中を、傘をさしながら佇む恵美(田中絹代)。 その姿は、女優・田中絹代が重なって見える、、、 傘をさす女は、清水監督が最も愛した静止画と言われ、 清水映画では度々見ることができます。 深い余韻を残す日本画のような美しさも、清水作品の大きな魅力。 旅、自然、子供たち、、、 清水映画らしい、 笑い と 情緒 溢れる一方で、 本作は、田中絹代の人生を知るほどに、 深みも増す作品になっています。 ( SHIMIZU:No8/9 ) 監督キーワード:「傘をさす女」

  • kxf********

    4.0

    80点 何故か見てしまう。

    こんなにシンプルな映画も珍しい。 長編映画としては珍しいくらいの筋の少なさ。 にも関わらず、何だかあれよあれよと見てしまい、 最後にはぴたりと感情の焦点があってくるのだから不思議、 ちょっとした奇術にあっているようでもあった。 ロケーションの美しい陽光を捉えた撮影と、 清水独特のフレーミングが何ともいえない叙情を紡いでいる。 なるほど、やはり清水宏は彼にしかないなにかを持っていたのだろう。 笠智衆の役所も珍しくて新味有り。

スタッフ・キャスト

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斎藤達雄片田江先生
笠智衆納村
三村秀子奥さん
横山準太郎
坂本武宿の亭主
油井宗信徳さん
大杉恒雄恒さん

基本情報


タイトル
簪(かんざし)

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日
-

ジャンル