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父ありき (1942)

監督
小津安二郎
  • みたいムービー 4
  • みたログ 90

3.83 / 評価:24件

父よ、あなたは偉かった

  • おーるどぼーい さん
  • 2009年2月27日 0時11分
  • 閲覧数 629
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

「一人息子」で母・息子関係を描いた小津が、本作では父・息子をテーマに取り上げる。父親に笠智衆、息子に佐野周二。

父一人・息子一人の親子の愛情を、静かに優しく見つめた名作。父性愛を取り上げること自体に、時局の影響(父権制賛美)があるのかな?とも思ったが、佐藤忠男氏の指摘では、関係はないらしい(『小津安二郎の芸術』参照)。

もっとも例えテーマの取り上げにそんな動機があったとしても、小津の描き方はイデオロギー臭さを微塵も感じさせない繊細さで、戦争の影もほとんど出てこない(息子の兵役検査ぐらいか)。

小津はもちろん、笠智衆にとっても代表作(当時38歳だが風格充分)。妻を亡くし、男手一人で息子・良平を育てる教師・堀川役。自分に非はないのに、学生の事故死の責任を感じ教職を辞める誠実な男に、朴訥な笠智衆は適役。

息子を諭す2回のシーンが良い。1回目は息子がまだ小学生の頃、離れ離れに暮らさなければいけないことを、優しく、息子を励ますように説く場面。次は成長し自分と同じ教師の職についた息子が、しかし教師を辞めると言い出す場面。これまた息子を力強く諭す父は、かつて職を辞した自分の思いを、息子に託しているのだろう。

良平の嫁も見つけて一安心の後、体調を悪くし倒れる堀川、そして突然の死。だが、病床で「出来るだけのことはやった。自分は幸せだった」と言って、安眠するかのように息をひきとる表情の何と清々しいこと。幸せを感じ死ねる人は、年齢に関係無く大往生であったと言えるかもしれない。

息子役の佐野周二も、この親にしてこの子ありという、親思いの息子を好演。結局、父と一緒に暮らす夢は果たせず悔いも残っただろう(ラストの「いい親父だったよ…」という呟きに万感の思いが込められている)。出番は少ないが、息子の嫁になる水戸光子の美しさも印象的。

詳細評価

物語
配役
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