新学期のブラスバンド部の光景ですな
- bakeneko さん
- 2014年5月12日 20時59分
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戦局が暗雲を告げる1944年に制作された戦意高揚映画?で、帝国情報部が企画&制作して中国戦線の本物の部隊&火薬を使った戦闘シーンも織り込まれていますが、そこはマキノ雅弘監督!自身の好きな映画=長閑な和風ミュージカル調の楽隊成長譚として愉しめる作品に仕上げています。
冒頭のそれぞれがバラバラな音楽経験を持った兵隊を集める場面からして、「水滸伝」や「七人の侍」等の“英雄集結もの”の高揚感を愉しめる作品で、ブラスバンド楽隊に三味線、大正琴、ハーモニカ…などの楽器経験者が集まって“和楽音階=チントンシャンで説明してよ!”から始まる和洋音楽理解経過は、「マイフェアレデイ」の“スペインの雨”のシークエンスや牧野自身の後年作「やくざ囃子」の鶴田浩二&岡田茉莉子の掛け合いを連想させます。そしてだんだんと上達していく楽隊達の成長カタルシスで「ステッピング・アウト」や「レッスン」&「がんばれベアーズ」の様な達成感を現出しています。
また、終盤の演奏しながらのパレード&進軍も、ジョンフォードの「騎兵隊」のオープニングの男声合唱行進を彷彿させる爽快さですし、現地中国の子供達との合唱シーンもほのぼのとした気持ちにさせてくれます。
そして、本作のハイライトはなんといっても李香蘭として最後の歌を山口淑子が披露していることで“天涯歌女”の歌唱シーンの躍動感だけで元が取れる映画でもあります(youtubeにも歌唱シーンが揚がっています)。
一方で、出演者に本物の兵隊&兵役中の俳優達を使っている臨戦感覚は抜群で、軍隊の行進や整列&戦闘シークエンスのきびきびした動きは普通の人間では出せないレベルまで達していますし、出演役者=上原謙&佐野周二&佐分利信の痩けた頬やぎらつく眼に戦争の苛烈さを感じさせてくれます。
本物の北支戦線や地形&町並みを映し出した作品でもあり、実際の陸軍の動きや宣撫工作なども刻みつけられている貴重な作品で、戦争における楽隊の意義についての帝国陸軍の考え方も興味深いですよ!
ねたばれ?
1, 体中に葉っぱを付けて迷彩しても、音楽を奏でたら意味がないと思う。
2, 当時の情報部には判る人がいなかったようですが、「戦艦ポチョムキン」や「オーケストラの少女」&「ファンタジア」から引用したショットが…(マキノさんやったな♡)
3,”やだやだやだ~”って、あんた…
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