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大曽根家の朝 (1946)

監督
木下恵介
  • みたいムービー 1
  • みたログ 15

3.40 / 評価:5件

露骨な民主主義啓蒙映画が快諾された時代性

  • saratto☆ さん
  • 2011年4月23日 13時01分
  • 閲覧数 831
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、1946年の作品。
敗戦後、日本を占領したアメリカ軍は、映画も日本人の思想改造の手段にしようと、映画制作も統制下におき、民主主義啓蒙のための映画を作ることを要求。
軍国主義批判映画、封建思想批判映画、女性解放映画などが作られていきます。

本作も、女性こそが民主主義の担い手であるというモチーフによる啓蒙映画。

戦争の真っただ中の昭和18年。
母親の房子(杉村春子)は、夫亡き後、4人の子供達と暮らしていましたが、
長男一郎が思想犯として突然検挙。
それによって、長女悠子の婚約が破棄され、
さらに、画家を志す次男の泰二は召集を受け、出征します。
三男で純真な隆は、海軍予備学生を志願し母の許可を求めるのですが、心配する母の気持ちとは逆に、叔父が勝手に許可してしまい、大曽根家は、更なる悲劇を迎えることになります。


本作における伯父の大曾根一誠の悪態ぶりは、あまりに露骨。
勝手に長女の婚約を破棄し、空襲により焼け出されたため大曾根家に移り住み、わがもの顔で一家の上に君臨、横流しした軍需物資を大量に自分の懐に持ち込み、
その姿は、まさに軍国主義の象徴。

白黒はっきりさせたその徹底ぶりは、監督より占領軍の統制を感じさせ、
一方で本作が1946年のキネマ旬報ベストワンというのも、民主主義を渇望した時代性を感じさせます。

本作に主演した杉村春子の演技は、流石の一言に尽きます。
大いなる愛に満ちた母親像と、困難に打ち勝つ女性の力強さ、その両面を見事に演じ切っています。

杉本春子というと、ホームドラマに登場する気だてのいいおばちゃん、という印象ですが、
本作では、更なる才能の片鱗を見たような気がしました。


民主主義のぬるま湯に浸かっている現代人にとって、当時の民意など、想像もつかないものなのかもしれません。

戦争だけではなく、大災害、経済危機など、身に破滅を及ぼす脅威は心に麻痺を生むこと、
そして、常に足下を見つめ直さないといけないことを、考えさせられる作品でもあります。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 知的
  • 絶望的
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