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王将 (1948)

監督
伊藤大輔
  • みたいムービー 4
  • みたログ 90

3.93 / 評価:28件

天才棋士と彼の家族を描いた人情ドラマ

  • おーるどぼーい さん
  • 2008年10月16日 0時10分
  • 閲覧数 417
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

天才棋士・坂田三吉の生き様と彼の家族を描く。元は戯曲で、映画も何回か作られている。

明治39年の大阪に一人のアマチュア棋士がいた。彼の名は坂田三吉(阪東妻三郎)。仕事や家族をほったらかしにするほどの将棋好きで、指せば連戦連勝の腕前。だが彼の前に関根七段(滝沢修)が登場、敗北を喫した三吉は打倒関根に燃える。

庶民感情を丁寧に描いた泣き笑いの展開は、伊藤監督の職人芸が感じられる。三吉は、将棋のためなら家族の大切な品も質に入れてしまう道楽者だが、好きなものには一直線な性格なだけで、家族に迷惑をかけていると分ると、将棋を止めるなんて言いだす根は純粋な男。打倒関根も彼に負けたのが悔しいからで、地位や名誉を得るためではない。だからこそ、名人位を三吉にと、周りが騒いでいるのをよそに、自分はそれに相応しいほど立派な人間ではない、と固辞するのだ。

そんな三吉を演じた阪妻は自由闊達な演技で「無法松の一生」と並ぶ名演。無学だけど愛すべきキャラを演じさせたら、この人の右に出る役者はいないのではないか。

また三吉を助ける家族の思いやりが暖かい。妻・小春(水戸光子)は三吉の道楽に何ども泣かされながらも、「指すからには日本一の将棋指しになって欲しい」と三吉を最後まで応援するけなげな女性。娘・玉江は、三吉の勝つためだけの将棋を批判するが、それは父を思うからこそ出た厳しい意見だろう。

家族に支えられた三吉は、やがて人間的に成長していく。名人位を辞退する自分への厳しさや、新名人となった宿敵・関根を心から祝福する度量の広さ(「あんたがいなければ、自分もこれほどの将棋指しにはなれなかった。」というセリフや、お祝いに自分で編んだ草履を送る姿が泣ける)。将棋の腕だけではなく、人間としても一回り大きくなった三吉は、位がなくても名人にふさわしい男になったといえるのではないか。

秀作です。

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