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春の戯れ (1949)

監督
山本嘉次郎
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4.40 / 評価:5件

文明開化と幼馴染の恋

  • sn71August さん
  • 2011年9月14日 0時06分
  • 閲覧数 324
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

戦後まもない1949年に作られた映画、舞台は明治初期の品川。新しいものが入ってきて揺れる状況が似ているからだろう。時代劇というより同時代の話という気がする。

高峰秀子の演技が素晴らしい。
物語の前半では高峰演じるお花は幼く見える。19歳で、隣に住む幼馴染の正吉(宇野重吉)にべた惚れ!早くお嫁さんにしてもらいたいと思って追っかけまわしている。可愛い。
この時点では、正吉のほうが大人びているようだ。お花のことは好きなのだけれど、大きな夢がある。外国船にのってロンドンとパリとニューヨークを見る! 寄港した外国船の船乗りに誘われると、どうにかして船に乗りたいと思う。

お花と正吉は一度だけ結ばれ、双方の親の圧力もあって、正吉は夢をあきらめてお花との祝言を挙げようとするが、お花は、正吉が本当に外国船にあこがれていることを申し訳なく思い、自分は、以前から自分に求婚していた越後屋(三島雅夫)の世話になるからと言って正吉を送り出す。越後屋はお花とは親子ほども歳が違い、前妻とは死別しているとのことだが、神様のように寛容な人である。
お花の苦しい胸の内を察することもなく、嬉々として外国船を追いかける正吉。
この辺りから、大人びたお花といつまでも幼い正吉という構図になる。

その後正吉の子を身ごもったことを知り、他方正吉からは船の帰国予定が遅れるという気楽な手紙が届き、絶望したお花は、子供の父親にならせてくれという越後屋の申し出を受ける。
越後屋と結婚し、正吉との間にできた息子を恵まれた裕福な家庭で育て、お花は幸せである。越後屋も子煩悩で本当に幸せそうだ。
そこへ、ようやく帰国した正吉が、呆れるほど身勝手な直談判をしに乗り込んでくる。越後屋はそれでも、お花を正吉に返してもよいという。ただ、子供だけは取り上げないでくれと。
血縁上は明らかに正吉の子供だが、本当に子煩悩で、しかし前妻との間にはどうしても子供を授かることができなかった越後屋にとっては、かけがえのないわが子であった。

ここからのお花が素晴らしい。
正吉に惚れるばかりだった娘が、恋を諦めて、辛い状況で子供を産み育てるなかで賢くて凛々しい大人の女性になるのかというかっこよさだ。正吉を諭す姿が本当に美しい。
外国船にあこがれて浮ついていたくせに、身勝手な主張を繰り返す正吉の女々しさや幼さと対照的だ。
本当に良い終わり方だったと思う。

BGMの録音がひどく、凄まじい不協和音だが、1949年の映画なのだから仕方がない。

詳細評価

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