別れのタンゴ
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(1件)


  • 久保田百合子

    5.0

    後見人と許嫁

     主人公の花村恵美子(高峰三枝子)は裕福な家庭に育ち、父親は生前、大井泰介(佐分利信)を「後見人」に指定した。然し、自身は恵美子の「許嫁」でもあると勘違いしているように見える。この勘違いが原因で、恵美子は宮田幸三(若原雅夫)との愛が突然終わる結果となったと思われる。  大井の矛盾すると思われる言葉遣いに注目してみた。  大井泰介は恵美子の後見人となり、彼女の生活のアドバイスをしている。レコード会社の村田次郎(清水一郎)は、恵美子を歌手として売り出すために作品を家に持参して、懸命に勧める。 村田は大井が恵美子の父に頼まれて「後見人」であるのを知っているから、大井に恵美子が歌手の道を選ぶよう熱心に勧めるのである。  ある夜、村田がダンスホールで踊っていた時、その少し前に、ステージでもめ事を起こした宮田幸三(若原雅夫)が落とした作品を拾って会社に提出。自分の手柄のように上司に曲を紹介した。全員の賛同で受理される。然し、その時、村田は作曲は花村恵美子であると偽証。  その曲は「しのび泣くブルース」として売り出され、レコードは好評だった。                        村田が拾った楽曲は、宮田の作曲であったが、彼の了解を受けずに美恵子の名前を使ったため、宮田が激怒。恵美子は顔に傷害を受け宮田は起訴されて懲役の身になる。  恵美子は刑期を終えて出獄した宮田を出迎えて、話し合いの結果円満に解決した。恵美子はその恩返しとして自宅を提供し、宮田に恵美子の家で作曲を続けるよう勧めた。  然し、大井は「いつまでも宮田君をこの家に引き留めておくのはどうかと思う。出来るだけ報いなくてはいけないが、世間体も考えるべき」と、若い二人が同じ家に住むことを心配した。そして、恵美子に「アパートか家を借りるよう」宮田の別居を勧めるが、「出来るだけ私の手でお世話をしたい」と、恵美子はきっぱり拒否。  その結果、恵美子と宮田はお互いに好意から愛を誓うまでになる。  そんな時、宮田は大井の事務所に呼び出され、宮田の美恵子に対する気持ちを詰問される。大井:「あなたの気持ちをお聞きせずにはいられなくなった。… あなたは恵美子さんをどう思っていますか?」宮田:「どうって?」と、聞き返すが返事に困る。大井:「私はこれまで恵美子の父親から受けた恩に報いるために、彼女を護ることを約束した」と説明。  宮田は大井と恵美子の関係を詳しくは知らなかったが、「許嫁同士」であるとは考えたことがなかった。そこで宮田が「それでは大井さん、あなたと恵美子さんは許嫁の関係では?」と、問うと、大井は「もしそうだたとしたら?…」宮田が「申し訳ない気持ち」と、答える。すると大井は「宮田さん、もし遠ざかって欲しいと言ったら?」と問われたので、宮田は「僕が不純だとおっしゃるのですか?」と、少々興奮気味に、然し、きっぱり否定。  すると、大井は「宮田さん、あなたには富子さんという人がいるのではないですか?」と、興信所で調査したような話しぶりをした。 宮田は「あれは、同郷で仲良くなった友人。それだけです」と返答。そして「恵美子さんのお顔に傷をつけた時から、彼女に対する気持ちが変わった。然し、恵美子さんに対して不純なものは何もない」と、明言した。  そこで大井は、「宮田さん、恵美さんと結婚してやった下さい」と、唐突に、翻意した如く話し出した。然し、宮田はその話を真に受けなかった。  自宅に着くと、門の前で杉浦富子(高杉妙子)、が待ち構えていて、田舎へ帰ることを告げるため別れに来た。そこで、宮田も考え直して自分も帰ることを決める。  家へ戻ると、恵美子に「長いことお世話にりましたが、お宅からお暇します。田舎へ帰ろうと思う。… 私は生活力のない男です。貴女の結婚相手は大井さん」と言って恵美子を驚かせた。彼女には、その申し出を受け入れる用意は全くなく、「私に愛を誓ったではないですか」と言い続けるが、「僕は、大井さんの話を聞き、恵美子さんへの愛情の深さに心を打たれた」と話す。二人の話は噛み合わなかった。  宮田が家を出て行くと、大井はまるでそれを察知していた如く現れ、「恵美子さん、どうして宮田君を帰してしまうんだ。」と告げた。  然し、全て大井の望み通りに終わった。  以上の通り、大井と恵美子が「許嫁」同志であるとは、恵美子も考えていない関係のようだ。然し、宮田も納得して退出したし、恵美子も大井に、これからは、芸の道で生きるから手伝って下さいと協力を依頼した。  宮田が、恵美子の家に滞在中作曲した曲は【別れのタンゴ】として、恵美子主演の映画の主題歌となり、それが宮田の美恵子への置き土産となった。

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