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ジャコ万と鉄 (1949)

監督
谷口千吉
  • みたいムービー 10
  • みたログ 31

3.93 / 評価:14件

ジャコウネコは熱帯に棲んでいるのだけれど

  • bakeneko さん
  • 2010年7月7日 12時19分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

“男同士の激突を骨太に描いた”体育会系小説の人気作家、梶野悳三の原作“鰊漁場”を黒澤&谷口が脚色して谷口千吉が監督した、極限の生活圏に生きる“人間ドラマ&男の対決”映画であります。

他の監督の演出作の中でも、黒澤明らしい脚本が上手く生かされた映画で、“明確な人間洞察とダイナミックな展開”を描いた黒澤との共同脚本を、厳冬の北海道の現場で執念の撮影で映像化した谷口千吉の粘りに感心させられる力作となっています。

極北の北海道の端の、ニシン漁の時期の浜辺を舞台に、巌窟王的なジャコ万と網元、そしてその息子の南方戦線から奇跡の生還をした鉄の葛藤をドラマ化していますが、陰湿な対決にならずに豪快に描いているところが出色となっています。
“過去の因縁”がある網元とジャコ万の2人は流石に“大人の騙しあい”をしますが、親の喧嘩に巻き込まれた息子である鉄とジャコ万の対決は、“ガキ大将同士の喧嘩”の素朴さと騎士道精神&ユーモアを欠かさない“男の子の対決”で、見ていて明朗なものがあります。主人公2人の女性へのスタンスも同様で、“不器用なジャコ万”と“純情な鉄”の描写に、男の子対決ものの王道の清涼感があります(対照的なヒロインも素敵!特に久我美子は「酔いどれ天使」同様、“ふっくらほっぺた”が健康的な清らかな乙女であります♡)。
また人間の対決以外にも、もう一つのクライマックスである“ニシン漁”の描写は圧巻で、凄まじい現場の迫力&揚がってくるニシンの大漁のなだれのごとき量に、かつての漁業資源の豊潤さに驚かされます。

主人公達の対決の他にも”疾走する馬車”や”荒れ狂う海での操船”等、多くのアクションが盛り込まれたサスペンス映画ですが、黒澤の“ドストエフスキー好み”の特徴もしっかり脚本に反映していて、人間同士の葛藤も迫力を持って描き込まれている作品で、2人の作家の長所が融合した良質の娯楽作となっています。

で、本作は1964年に深作欣二版が創られています(DVDはこのバージョンのみ)ので見比べてみるのも一興であります。




ねたばれ?
1949年版のソフト未発売の原因は、劇中の三船のアドリブ=“原住民の踊り”だな(これは凄いよ♡)。

詳細評価

物語
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音楽

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