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ジャコ万と鉄 (1949)

監督
谷口千吉
  • みたいムービー 10
  • みたログ 31

3.93 / 評価:14件

谷口千吉最高傑作!

  • nqb******** さん
  • 2012年1月24日 23時29分
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

1949年の三船敏郎&月形竜之介版と1964年の高倉健&丹波哲郎版を見比べてみました。49年版は谷口千吉監督。64年は深作欣二監督です。オリジナルは谷口千吉と黒澤明の共同脚本。64年もこの脚本を使っています。

 どんな話かと言いますと、寒風吹きすさぶ北海道の冬の海でのニシン漁のお話なんですよ、これが。北原ミレイの“石狩挽歌”が真っ先に思い浮かびました。この映画を観るとこの歌の歌詞がやけに沁みます。番屋と呼ばれる海の近くのまるでタコ部屋みたいなところに東北辺りから出稼漁夫(やんしゅ)が集まってきます。この番屋の親方が九兵衛。オリジナルは進藤英太郎がやってる。リメイクは山形勲。これが強欲な親父で出稼漁夫をいかにこき使って儲けるかしか考えていない。出稼漁夫たちの食事をみて「まんまの盛りが多すぎるど」な~んて飯炊き女に文句言ったりする。

 この九兵衛のもとにふたりの男が現れる。一人は”ジャコ萬”と呼ばれる片目の男。(月形、丹波)九兵衛とは因縁浅からぬようで、恨みを持っている。もう一人は海で死んだと思われていた九兵衛の息子、鉄。(三船、高倉)やがてこの二人の対決を縦糸にそしていつやってくるのか分からないニシンの群れを横糸に物語は怒濤の展開を見せていきます。

 オリジナルは間違いなく谷口千吉の最高傑作だと断言しちゃいます。全てが素晴らしい。リメイクは正直言って全くオリジナルにかなう所がありません。役者の上手さが全然違う。特に九兵衛。進藤英太郎というのはよくの皮が突っ張った役をやらせたらまず、右に出るものはいないと思います。圧倒的な存在感。リメイクの山形勲にいたってはただ、怒鳴っているだけの芝居にしかみえません。

 三船と高倉健もどうしたって三船に軍配があがります。三船は天性の明るさってぇのがあるんだよね~。(七人の侍の菊千代に近いかな)それに対して高倉健はちょっと暗い。網上げの祝いの席で、鉄が踊る場面があるんですよ。「南方の土人から習った歌だ」とかいって歌い踊りだすわけなんですが、この場面の三船は最高です。萌え~って感じです(笑)奇妙奇天烈な歌と踊りなんですが、めちゃくちゃ可愛いんですよ、これがきっと観たらビックリしますよ。天下の三船がこんな場面を撮っていたのかってぐらい同じシーンはリメイクでもあります。高倉健がやっぱり踊るんですが、どこかに照れがあるというか、三船ほど突き抜けていないんです。踊りも全然違いますし。

 リメイクが決定的にダメだと思うのは以下の部分。オリジナルは、ニシン漁場という北の海の荒くれ男たちの世界を描きながら、日曜日になると鉄はそりを飛ばしていそいそと教会に行くんですよ。鉄のお目当てはその教会でオルガンを弾いている少女(久我美子)。それも別に告白するわけでもなく、ただ遠くから眺めているだけなんですよ。しばしの間久我美子を眺めてはなんともいえない柔和な顔すんですよ、鉄。このときバックには賛美歌が流れます。そして癒されてまたそりに乗って番屋に帰っていくんですよ。この純情この心意気にノックアウトですわ~。ニシン漁場と教会のこのコントラストが素晴らしいのに、リメイクは何をとち狂ったのか、開拓民の娘かなんかに設定を変えてしまっている。バカかよ~。(;´д`)トホホ

 もっというと鉄は、自分の恋は遠くから眺めるだけの純情一途の進展のない恋なんですが、ジャコ萬を追っかけてる女には積極的に橋渡しとかしてやるの。観てて歯がゆくなっちゃう。人の心配よか自分の心配しろ~(笑)

 それにしてもニシン漁というのは、網元にとって大金を投資してニシンが来れば天国、ニシン御殿とかいわれるほどの一攫千金を手に入れることが出来ますが、もしもニシンが来なければ破産というまさに博打の世界だったようですねぇ。

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