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小原庄助さん (1949)

監督
清水宏
  • みたいムービー 5
  • みたログ 28

4.00 / 評価:12件

名作!器のデカさ・懐の深さ☆ :まとめ付

  • Kurosawapapa さん
  • 2014年9月27日 6時25分
  • 閲覧数 775
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

福島県の民謡「会津磐梯山」の歌詞に出てくる小原庄助さん。

『 小原庄助さん なんで身上(しんしょう)つぶした
朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上つぶした
ハァ もっともだー もっともだー 』

そんな “小原庄助さん” を主人公とした本作は、
シンプルなタイトルからは想像もつかないほどの名作!
自分が見た9本の清水映画の中でも最高作☆

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旧家の当主で朝寝・朝酒・朝湯をたしなむ杉本左平太は、人々から “小原庄助さん” と呼ばれている。
人望が厚い一方で、人の良い左平太は、子供から大人まで何でも頼まれると断り切れず、自分の財産をどんどん分け与えたため、すでに破産寸前だった。
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主人公は、
・金銭にこだわらない
・万民に手を差し伸べる
・迷いなく自分を犠牲にできる
そんな人物。

たまに愚痴もこぼしたり、不都合な事から逃げたりもするが、それもまた人間味として親近感が湧く。
主人公を演じた大河内伝次郎は、実に鷹揚な演技を魅せています。

また本作は、清水映画の中でも、かなり笑える作品。
大河内伝次郎には「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」の時も笑わされたが、本作も同様。

野球の球を股間に当てたり、お茶代わり(酒が入っている)のくだりなど、
脚本も書いた清水監督は、こんなに笑いのセンスに長けていたのかと、感心する。

俳優陣は、他にも
・凛として夫を支える妻・おのぶ役に風見章子(90歳を越え今も活躍中)
・情深い婆や役に飯田蝶子
・よき友人でもある和尚役に清川荘司
・借金取りに名傍役の田中春雄
田中春雄は、強い立場でありながら、相手を慈しむ名演を披露。

本作では、悪い人間は1人も存在しません。
泥棒にさえ、そうならざるを得なかった経緯を持たせている。

後半、主人公が本音を吐露するシーンは、なんとも切ない。
時代の変革を背景とし、一家の衰退とともに “決して失わないもの” を描いた本作。

*すべてを受け入れることのできる度量
*自分を犠牲にしてまで相手を慈しむことのできる懐の深さ

「小原庄助さん」という作品にも、人物にも、
自分は、ファンになってしまいました☆

( SHIMIZU:No9/9 )
監督キーワード:「天才・清水宏監督」


===== 清水宏監督作品9本レビュー・まとめ =====

これまで、日本映画を監督別にまとめて鑑賞した時の、一言で表した監督イメージ。
*黒澤明監督   「底力」
*小津安二郎監督 「潔癖」
*溝口健二監督  「癇癖」
*成瀬巳喜男監督 「寡黙」
*今井正監督   「信念」
*岡本喜八監督  「慈愛」
*市川崑監督   「挑戦」
*今村昌平監督  「本能」

そして、今回の清水宏監督を表現するなら「自然」。
それは、大自然の「自然」であり、自然体の「自然」でもあります。

 “清水宏のキャメラは旅をする” と、言われます。

作為性を排除し、スタジオを離れロケーションを多用、
大自然を背景に、映画を自然の即興に委ねた清水監督。

登場するのは、沢山の子供たち、娼婦、学生、障害者など。

俳優には、新人や素人を起用し、極力人為を避け実写的精神を重視。
人もまた自然の一部であるかのように作り上げました。

・道のど真ん中にキャメラを据えた縦長、左右対称の構図
・歩く姿を捉えた真正面、真後ろからの移動撮影
・超ロングショット そして ディゾルブ

得意とするテクニックを、どの作品にも惜しみなく取り入れ 清水流 を確立。

また、傘をさす女は、清水監督が最も愛した静止画と言われ、
清水映画では度々見ることができます。
深い余韻を残す日本画のような美しさも、清水映画の大きな魅力。

出来上がった作品は、どれもエッセイ的で、
それでいてクスッと笑ってしまうような情緒豊かな名作ばかり。

小津安二郎監督が、溝口健二監督が、山中貞雄監督が、
清水宏監督のことを天才と呼んだ理由が、分かるような気がしました。

天衣無縫の自然児、清水宏監督。
そんな巨匠に、謹んで敬意を表したいと思います☆

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 笑える
  • 楽しい
  • 勇敢
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