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第一容疑者 (1991)

PRIME SUSPECT/PRIME SUSPECT 1

監督
クリストファー・メノール
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4.30 / 評価:20件

【クィーン】のヘレンが、やり手の女性警部

  • 月光の【sonata】 さん
  • 2007年7月2日 19時33分
  • 閲覧数 1490
  • 役立ち度 79
    • 総合評価
    • ★★★★★

アカデミー賞を初めとして、20数個の世界の「主演女優賞」を完全に独占した『クィーン』は御覧になりましたか?エリザベス女王という貴人の誇りと挫折を見事に演じ切ったた、63歳の女優ヘレン・ミレンは世界で絶賛されました。文句のつけようのない完璧な演技には、ぼくも息を呑みました。未見の方はDVDが出たら、レンタルでぜひご覧ください。

『クィーン』をご覧になられて、ヘレン・ミレンに興味を抱かれた方も多かった、と想像します。映画では秀作『ゴスフォード・パーク』をお勧めしますが、ヘレン・ミレンという女優を知るのに最高の「テキスト」があるのを御存知でしょうか?

それが本作品の『第一容疑者』シリーズです。1991年に英国のグラダナテレビで製作が開始され、6年間に及ぶ人気シリーズとなりました。『クィーン』から遡ること15年前で、ヘレン・ミレン48歳、脂の乗り切った知的演技派女優として最高の時期でもありました。

ヘレンが演じるのは、ロンドンの首都警察のジェーン・テニスン主任警部という異色の存在です。テニスンは殺人事件の専門家で、責任者として数十人の捜査員の指揮をとる、やり手の女性警部です。

旧態依然とした保守的な警察機構の中で、頭脳明晰でやり手のテニスン警部は、「女性として出世したい」と公言してはばからない、自信に満ちあふれた仕事一筋の人間です。
迷宮入りになりそうな殺人事件を指揮、解決していくことで、次ぎの「警視」への昇進を生甲斐にしています。早朝から深夜まで仕事漬けのため、同棲していた恋人に愛想をつかされ、去られてしまいます。

男性世界で戦い、部下の警官たちを顎で使い、私生活を潰し、やたらと煙草ばかりすっている女、テニスン…エリザベス女王との、あまりのギャップの差に唖然とささせられますが、テニスンの【孤独さ】が、間違いなく15年後の女王の姿に繋がっていると、作品の随所で感じさせられます。

たとえば、捜査の責任者としてテニスンはしばしば窮地に追い込まれ、男社会の中で逃げ場もなく、トイレで涙を流し、その顔を水で洗い流し、じっと鏡を凝視するシーンがあります。その姿は、城外の「鹿狩り場」で独り途方に暮れ、涙を見せた女王の「孤影」と相通じるものがあります。

この物語は、ただの犯罪サスペンスではなく、テニスンの心の葛藤を深く滲ませたところが秀逸です。男のぼくが観ても惹き込まれますが、女性ならもっと楽しめるのではないでしょうか。
第1作は、テニスンが連続殺人捜査の責任者に任命され、男性捜査員たちから大ブーイングをうけ、拒否されるところから始まります。
容疑者捜査の戦いと、署での「内なる敵」との戦い、…疲れ果てたテニスンはロッカーに顔を押し付け、沈み込みこみます。

恋人に別れを切り出され、「今夜ゆっくり話し合いましょう」と懇願するテニスン。しかし、「今夜、何時に帰れる?」という恋人の問いに、「それは…。わからないわ」としか答えられないテニスン。深夜、帰宅したときには、恋人の姿はなかった…。

推理ドラマとしても、脚本が巧妙で、容疑者との心理戦は見応え充分です。
特に中盤以降、ラストまで、奔流に巻き込まれ流されてしまうような展開は見事の一言。
容疑者と、彼の内縁の妻の演技力にも舌を巻きます。
テニスンが二人と幾度も繰り返す「尋問」のやりとりは大きな見所。
逃げる者、追い詰める者の攻防には痺れてしまいます。

ふんだんに登場する、古めかしい町並みや、アパートの室内、パブの光景、薄汚れた署内が…1990年代のロンドンを楽しませてくれます。

最後に、ごくささいなことなのですが、驚かされたことを一つ。
テニスンが、殺害された女性のボーイフレンドを尋問するシーンがありました。革ジャンを着た瞳の美しいボーイフレンドを眺めると、なんとブレイクする前のレイフ・ファインズでした。世界的な名優も、端役としてヘレン・ミレンと共演した時期もあるんだ…と感慨深いものがありました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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