女の幸福とは平凡かもしれない日常
- bwa***** さん
- 2020年12月31日 8時46分
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名匠成瀬巳喜男監督の名作という事で一度は拝見しなくてはと思っていた作品です。
専業主婦の岡本三千代(原節子)は主人の岡本初之輔(上原謙)とマンネリな生活を送っています。ここに初之輔の兄の娘の岡本里子(島崎雪子)が東京から訪ねてきます。親に勧められた縁談が嫌で、家出をしたのだといいます。この里子が初之輔に色目を使っているのが、気に入りません。三千代は里子を東京へ送るついでに東京の実家に帰ることになります。
「あなたは私の顔を見ればお腹のすいたって事しかおっしゃらないのね。あなたは私が毎日毎日どんな思いで暮らしているか、お考えになったことがあります?結婚ってこんな事なの?まるで女中のように朝から晩までお洗濯とご飯ごしらえであくせくして。たまに外へ出てかえれば嫌な事ばっかり。このままじゃとってもたまんないわ」「私ね疲れちゃったんですわ」
三千代が実家に帰るとそこは母 まつ(杉村春子)と妹夫婦(小林桂樹・杉葉子)との家庭になっています。従弟の竹中一夫(二本柳寛)に就職の世話をお願いするのです。一夫に恋心があったようですが、里子は一夫が好きになり結婚を考えている事を告げます。
ある日戦争未亡人の山北けい子(中北千枝子)が子供を携えて新聞売りをしているのを見て、自分が退屈に思えていた日常が幸せな日だと感じるのでした。
三千代がいない岡本家は万年床で物が片付いていない状態です。
東京に出張に来た初之輔は三千代を迎えにきたのでした。
ラストの原節子さんのナレーションです。「私のそばに夫がいる。目をつぶっている。平凡なその横顔。生活の川に泳ぎ疲れて、漂って、しかもなお戦って泳ぎつづけている一人の男。その男のそばに寄り添ってその男と一緒に幸福を求めながら生きていくことが、そのことは私の幸福なのかもしれない。幸福とは。女の幸福とは。そんなものではないのだろうか」
ラブシーンも抱擁シーンも何もない日常を淡々と描く映画ですが、お互いを信じ一緒にいたいと思う感情がビシバシ伝わってくる映画でした。
まぎれもない名作でした。
出演している俳優たちの若いころの芝居が見れて意外性を感じました。
中でも晩年変なキャラクターで子供番組とかにも出ていた大泉滉さんがイケメンな色男役にびっくりでした。
原節子さん。とんでもない美人です。
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