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荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻 (1952)

監督
森一生
  • みたいムービー 9
  • みたログ 28

3.67 / 評価:15件

「七人の侍」への導線

  • cpd***** さん
  • 2008年9月13日 4時27分
  • 閲覧数 697
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

最近テレビで脚本家・橋本忍が黒澤映画「七人の侍」の創作裏話を披露していた。
当時黒澤監督はリアルな時代劇を模索していたという。

ある武士の1日を徹底した時代考証の基、そのまま映画にするというものと、歴史上の剣豪をオムニバスでそのクライマックスの決闘シーンだけを繋げ、一本の映画にするというもの。前者は資料不足で、また後者はやはりストーリー性がなければということになり没になったという。

ちょうどその頃の黒澤脚本作品が「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」である。寛永11年、伊賀上野において実際にあった事件を扱っている。

確かにリアリティを追求した作品になっていて、おそらく史実に出来るだけ忠実に書いたのだろう。

オープニングはいきなり従来の剣劇スタイル「決闘鍵屋の辻」が実際のキャストで再現され、後年誇張されて伝わる「荒木又右衛門 鍵屋の辻三十六人斬り」よりも実際に人間二人斬る方が遙かに迫力ある旨のナレーションがある。

この辺りは黒澤の時代劇に対するこの頃のこだわりが現れていてシニカルで興味深い。事実はこんなもんじゃないということを最初に説明しているのだ。

次にドキュメンタリータッチで現在の「鍵屋の辻」が当時と比べてどう様変わりしているかという解説がある。

そしてここにやって来る荒木又右衛門達の映像である。

つまり、仇討ちをする4人の侍の回想が本編の大部分を構成する。

そしてクライマックスの決闘シーンであるがこれが実にリアルである。僕はこれほどリアルな斬り合いシーンをかつて観たことがない。ドラマなどのチャンバラでバッタバッタと人が切られてゆくなんてのは全く現実離れしているのだ。実際、史実では1対1の斬り合いに何時間も要した。ほとんど、睨み合いで緊迫した時間が流れていったのだという。なるほどそういうものなんだろう。

ただ、限られた時間内で延々とそれをそのまま映画には出来ないし、たとえしたとしても欠伸が出るだけだろう。

ここでは加東大介がいい演技をする。

リアリティを追求すればむしろ滑稽にすら映るということがよく分かった。その辺りをうまく表現しているのには流石黒澤とうならされる。

ただ、いかんせん全体的に映画としてのエンタテイメント性、ストーリー性が薄れざるを得ないのは致し方ないところか。

しかし、義弟 渡辺数馬ら又右衛門達が仇 河合又五郎一行を飲み屋「鍵屋」に隠れ待ち伏せし、決闘の時間が刻一刻と近づいてくる緊迫した画面は息が詰まる程の迫力があった。

この2年後にあの不朽の名作「七人の侍」が公開される。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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