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お茶漬の味 (1952)

監督
小津安二郎
  • みたいムービー 20
  • みたログ 341

3.92 / 評価:126件

変われない男の孤独と強さ

  • yam***** さん
  • 2020年3月27日 11時21分
  • 閲覧数 376
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

夫:佐竹茂吉(佐分利信)

田舎出身で、どこか茫洋とした印象を与える中年男
一流企業の部長であり、女中が二人もいる豪邸に住む甲斐性の持ち主
友達にも誰に対しても何しろ優しい
ばったり再会した戦友の男にも「班長」と慕われている
暇な時間は辞書を引きながら洋書を読む
金も地位も人格も知性もある、俺から見たら完璧超人である
友人達には笑顔を見せるが、妻には無表情

「パチンコ玉は僕だ、僕はパチンコ玉だ、大勢の人がいる中で、何も考えず孤独になれるのがいいんだ」
男の言葉には、深い孤独が滲む

男は一貫して寛容である
どこまでも懐が深い
どんな態度を取られても、妻を許す
こんな我慢強い男、見たことない

妻:妙子(木暮実千代)

都会のブルジョワ出身の妻
夫とは見合い結婚
家事一切は女中に任せ、何不自由ない暮らしを謳歌している有閑マダム
子供はいない
夫に嘘をついて女学校時代の友人達と温泉旅行
友人達の前で夫のことを「鈍感さん」と呼んで小馬鹿にしてみせる
でも夫が嘘をつくのは許せない
夫が味噌汁をご飯にかけて食うのも許せない
いらいらぷりぷりして夫の話もろくに聞かず勝手に家を空ける

夫に対して無理解な妻が、変容する
妻は夫への評価を一変させる
「鈍感さん」→「頼もしい」
ただ、その理由が分からない

海外赴任へ旅立つ夫の見送りにも行かなかったのに、アクシデントで帰宅した夫を見た瞬間、妻は変容していた
「海外赴任」「アクシデントで緊急帰国」そういう出来事にも動じずいつもと変わらぬ態度を示す夫に「頼もしさ」を感じたんだろうと推測するが、説得力に欠けるように思う

『小津は後に「ぼくは女の眼から見た男、顔形がどうだとか、趣味がいいとか言う以外に、男には男の良さがあるということを出したかった。しかしあまり出来のいい作品ではなかった。」と振り返っている』『なんとか一年一作を守るために糊塗したもので後味が悪い』とwikipediaにあるが、妻の変容の理由が分かりにくいことを指していたんじゃないだろうか。

現代では男はあれほど寛容ではなくなり、女は変わらず夫に無理解である
離婚が増えるはずだ


戦後7年目にあたる1952年に公開された本作
有閑マダム達は旅行を愉しみ、野球観戦を愉しみ、酒タバコを愉しみ、買い物を愉しむ
新しい時代に順応し、それを謳歌する女達の姿には浮き浮きするような明るい雰囲気が漂っている

一方、夫達はビールと安いタバコを愉しみ、パチンコを愉しみ、競輪を愉しむ
男達はまだ暗い戦争の影を引きずっているように見える

変わりゆく時代と変われない男達の姿を、自身も復員者であった小津監督は優しい視線で見つめている

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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