この頃の値はライスカレー>ラーメンなんだ
- bakeneko さん
- 2017年3月1日 10時58分
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いきなりすみません。
劇中で結婚資金を貯める為に、当時70円のライスカレーを我慢して40円のラーメンにする場面で思いました(現在はラーメンも高くなりましたよね)。
「生まれてはみたけれど」「突貫小僧」を始めとした戦前の小津安二郎映画などで個性的な容貌とひょろ長い容姿が印象的だった斉藤達雄の初監督作品で、脚本も自分で書いて主演も努めています(助監督は石井輝男)。
お話は適齢期の娘を持つ父親が、正直過ぎた為に会社の不正を看過出来ず馘になるが、少しでも早く婚約者と娘を結婚させようと苦心している家族に打ち明けることも出来ず、従兄弟:坂本武の湯たんぽ宅配屋台を手伝うことになる(「突貫小僧」の“ひとさらいコンビ”再結成!)。ある夜、歓楽街で商売しているところを娘の婚約者に見つかって…という庶民哀歓ドラマで、同時期の「晩春」などで小津安二郎が描いた中流家庭よりやや下の経済レベルの庶民の結婚が資金的に大変であったことが判ります。
娘役の島崎雪子(22歳)がとても可愛らしく、病弱な母親:細川ちか子とおしゃべりな叔母:沢村貞子(幾つかのデータベースでは飯田蝶子になっていますが間違いです)のコントラストも愉しい作品で、映画デビューしたばかりの芦田 伸介(32歳)も若々しい顔を見せています(主人公に対して“伊達に髪を薄くしてんじゃねえぞ!”と毒づく社長役)。
主人公の失業して仕事を捜し歩く様子に、「最後の人」や「ウンベルトD」の影響も見ることが出来る作品ですが、最後は綺麗な花嫁姿で気持ち良く締める庶民劇の佳作であります。
ねたばれ?
儲かっているんなら、夜の湯たんぽ宅配も続ければよいのに…。
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