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(1953)

監督
成瀬巳喜男
  • みたいムービー 3
  • みたログ 27

3.63 / 評価:8件

夫婦生活の倦怠・甘えをドライに描く

  • おーるどぼーい さん
  • 2008年10月6日 0時35分
  • 閲覧数 366
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

「めし」「夫婦」に続く夫婦もの。夫・中川役は上原謙、妻・美種子役は高峰三枝子。長年の夫婦生活がもたらす倦怠感と心の甘えを、ドライにシリアスに描いて生々しい迫力がある。

10年続いた夫婦生活、そこにあるのはお互いへの配慮の欠如。妻・美種子が何気なく見せるだらしない姿(手抜きまる出しのお弁当、お煎餅を音をさせて食べる、箸で歯をすする、お茶でうがいする…)。この無意識の怠惰がリアルだ。夫・中川はそんな妻をもはや「女性」として見ておらず、家の外で胸をときめかせる。

青天の霹靂のような夫の浮気に対して、絶対に夫と別れないと意地になる美種子。夫との惰性の関係に慣れてしまった彼女には、元間借り人の女(中北千枝子)のように、夫との関係を自ら断ち切る(=別れる)ことも、逆に自分から歩みよって仲直りすることもできない。彼女にできることは、自分の意地を貫くことだけ。

一方、中川は不倫相手の房子を好きと言いつつ、妻との関係も曖昧にしたまま。こちらも積極的に状況を打開しようとする意志は無い。夫婦ともども自分の内に閉じ籠っているのだ。ここに欠けているのはお互いの気持を慮る配慮・コミュニケーションではないだろうか。

終盤、美種子は、房子に夫と別れるよう直談判、彼女の強引さに房子は中川と別れる決意をする。そしてラストは何の解決も示されない。二人はまた以前と同じような夫婦生活を送り始めるのだった。シニカルな結末。ここには夫婦の信頼感を肯定した前2作と異なる、現実(人生)へのよりドライな視点が感じられた。

夫婦生活の現実を描いて見応え充分。前2作に比べると全体的に重苦しいトーンが支配的であるが、その中で、脇役の三国連太郎が貴重な存在。夫婦が間借りさせている美大生・谷村を、飄々としたユーモラスさで演じ、良い緩衝材となっていた。伊豆肇・中北千枝子夫婦のサブ・エピソードも良い出来だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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