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日本の悲劇 (1953)

監督
木下恵介
  • みたいムービー 2
  • みたログ 75

3.58 / 評価:24件

埋め難い断絶

  • dok******** さん
  • 2007年2月25日 9時31分
  • 閲覧数 595
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ある親子の断絶を
戦後の日本の縮図として描いた
非情なホームドラマ。

夫を戦争で亡くした春子は
歌子と清一の2人を育てる為に
自分の家と子供を親戚に預け
1人熱海の温泉街で働きます。

けれど
女の力でそう稼げる訳もなく
男に媚入る手段を取るように。

子供たちは親戚に邪険に扱われ
辛い日々を過ごします。

物語は子供たちが成長した所から始まります。
久し振りに会った春子に
大学生の清一が
「金持ちの所に養子に行きたい」と。

更に歌子は通っている英会話教室の先生と不倫の疑惑が。

子供たちの成長を生甲斐に
身を粉にして働いてきた春子にとって
これ以上の裏切りはありません。

2人の為に遮二無二頑張ってきたのに
何故・・・?

そこには埋め難い親子の断絶があります。
戦争に敗れ
全てが変わってしまった日本。

混乱の中で食う為に闇屋を
そして女を売る母。

その為に2人は周囲から虐げられます。
母に甘えようにも離れ離れ。

孤立した環境で
2人寄り添い生き延びるうちに
母への感謝の思いはどこかへ消えてしまうんですね。

何より教育のあり方が変わり
親子の考え方の違いが明確に出ています。

自分の老後を世話してもらおうと
清一に医学を学ばせますが
「それは自分の事しか考えていないんだ!」
と徹底的になじられます。
それも夫の墓前で。

しかし
それは清一も同じ。
自分の医院を持つ為に
医者の養子となります。

新しい家で別れ際に春子が言う台詞。
「お前を生んだのはお母さんなんだよ」
この当たり前の
それだけでも感謝しなければならない事すら
忘れさせてしまう社会。

木下恵介に
先見の明がどれだけあったのか分かりませんが
人と人との関係が崩れた現代を
予見しているかの様です。

誰からも嫌われ
生きる希望を失った春子が選んだのは自殺。

あまりに非情で
何の救いも無い展開ですが
最後の最後に見せた監督の優しさが胸に沁みます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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