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日本の悲劇 (1953)

監督
木下恵介
  • みたいムービー 2
  • みたログ 75

3.58 / 評価:24件

時代を描き、普遍的テーマを描いた傑作

  • おーるどぼーい さん
  • 2008年4月21日 0時22分
  • 閲覧数 771
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

戦後、女手ひとつで子供二人を育ててきた女性に起こる悲劇。コメディや叙情的なイメージが強い木下恵介が、ここでは溝口健二なみの強烈なリアリズムで戦後を描く。

長回しを多用した重厚な作風、過去と現在を交差させ、当時の新聞記事やフィルムを随所に盛り込んだ巧みな展開。普段はテクニックが勝りがちな木下監督だが、本作ではそれがテーマとしっかり噛み合い、非常に完成度の高い作品となっている。

貧困が日常的な時代、自分の希望を託した子どもたちを、何とか一人前に育て上げようと必死に努力する母親・春子と、そんな母親の哀れな頑張りを見て、逆に母を軽蔑する子ども二人(歌子・清一)。

ここに描かれる貧困が生んだ逆説的悲劇は、当時の時代の象徴であるとともに、親と子の断絶という普遍的なテーマでもあり、だからこそ今観ても非常に生々しい力を感じるのだろう。

ラスト、子どもに見捨てられた春子が、列車に飛び込む様を捉えた長い映像(呆然とホームに佇む春子の後姿、画面の奥から列車が徐々に近づいてくる、列車に向かって走る春子…)は、圧倒的な迫力と悲しみを伴い、観るものの胸に迫ってくる。

登場人物の造型とそれを演じる俳優陣も的確で、春子役の望月優子の熱演を筆頭に、子ども二人(桂木洋子・田浦正巳)、流しのギター弾き・佐田啓二(彼が出る場面は良いアクセントになっている)、歌子が通う英語塾の先生・上原謙、みな素晴らしい。

時代を描き、普遍的テーマを描いた傑作と思う。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 切ない
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