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君の名は

bakeneko

5.0

ネタバレウオータールー橋→数寄屋橋へ

日本では戦後1949年に公開された「哀愁」にインスパイアされた菊田一夫のNHKラジオドラマの映像化作品で,「哀愁」の他にも「邂逅(めぐりあい)」やドストエフスキーの「白夜」の要素を取り入れて,更に戦中戦後の日本の激動状況を上手く当て嵌めた脚本が光る”和製メロドラマ”の金字塔であります。 え~,映画の醍醐味はメロドラマにあります。 「風と共に去りぬ」,「天井桟敷の人々」,「戦争と平和」,「ドクトル・ジバコ」…と面白い映画は,メロドラマと激動の歴史群像劇を上手く融合させて大河ドラマを綴っていきます。 昭和20年5月24日の大空襲の夜に出会った男女の純愛を,様々な登場人物を係わり合わせながら,苛烈な占領下の日本の苦難の時代の中に活写したドラマは,生き生きとした登場人物達の感情を自在に掘り下げて目が離せない展開で引き付けてくれます。 主人公の男女:佐田啓二と岸恵子の美しさ&純粋さは神々しいほど輝いていますが,脇を固める主役級の助演女優陣:淡島千景,月丘夢路,小林トシ子,野添ひとみ,淡路恵子らも華やかな名演を見せまし,笠智衆,市川春代,望月優子,三井弘次,川喜多雄二らも適材適所のキャラクターを上手く演じています。 加えて,1作目の舞台となる佐渡ヶ島と伊勢志摩の海岸風景や船からの情景も美しく撮られていて,人物のアップの美しさと共に”日本の美”を堪能させてくれます。1作目は,物語の始動編となっていて波乱万丈の恋愛&戦後苦闘劇が骨太に動き始めていきます(オープニングの空襲特撮は円谷英二のB29爆撃シーンが担当していますよ!)。 ”放送時間には女湯が空になる”という伝説となったのも頷ける-抜群の面白さの作品で,多くの間違った情報(”ガラス越しのキス”は別の映画=「また逢う日まで」のことですし,主人公の男女は意外と早くお互いの素性を知ります)がひとり歩きしている映画でもあります。 ”クラシカル&素朴なメロドラマ”と思ってスルーするにはもったいない-映画の面白さがぎっしり詰まった大河ドラマ始動編であります。 ねたばれ? ”女が初恋を忘れるもんか!”は名台詞!

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